「短い滞在で本当にたくさんの出会いが!」ドゥーラのつぶやき@パリ

今日は晴天のパリです~。
おげんきでいらっしゃいますか。ノマドゥーラこと木村章鼓です。フランス発信のドゥーラ便りをお読みくださりいつも有難うございます。夏号からすっかり時間が空いてしまいましたが、少しだけ後半でその言い訳を書きましたので、どうぞ最後までお付き合いください。

 

お陰さまで2018年夏の日本でのイベントはどの会も大盛況で、本当にたくさんの方々との新しいご縁を頂きました。お礼が遅くなりましたが、あらためまして本当に有難うございました。具体的には、‘世界に広がるドゥーラの環’をテーマに掲げ、以下のスペースにお邪魔いたしました。

 

━東京ウィメンズプラザでのドゥーラシップジャパン主催のお話会

━毎日新聞社内の「毎日メディアカフェ」での講演会

━慶応義塾大学医学部のある信濃町キャンパス考養舎での「患者学」でのゲストトーク

━横浜の「Umiのいえ」でのトーク

━ドゥーラ研究、岸利江子先生(筑波大学)をはじめとする先生や学生さんとのランチ会

━「らくだの会」プライベートサロン@川越

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お話会では大抵まあるく輪になります。

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毎日新聞2018年8/23(木)の朝刊に載りました

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数年ぶり2回目の慶応義塾大学では再会が多くて嬉しかったです

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ラクダの会@川越の皆さん、呼んでくださいました〜

 

と、ざっと挙げただけでも短い間にさまざまなスペースで、たくさんの方と出会うチャンスを頂きました。呼んで下さり本当に感謝しています。加えて、「らくだの会・ヒューストン」のオフ会や「子育てサロン・どんぐり」のオフ会なども企画して頂いたので、この夏にドゥーラ関係だけで200名以上の方と新たに出会いました。中には飛行機や新幹線ではるばる地方から聴きに来て下さったという参加者も数名いらっしゃいました。「アキコさんのお話のためだけに上京しました。今日はもう遅いので東京に泊るんです」という方と毎日新聞社からメトロ東西線乗り場へ行くエレベーターで乗り合わせ、その方(まだ小さい子のお母さん!)の行動力に本当に感激しました。次回は私の方からその方のお住まいの県まで飛んで行きたい!と思っています。

 

さて、その後パリに戻ると、翌週からイギリス人家族、イタリア人家族、オランダ人家族、と旧友たちが次から次へと子連れでパリに到着し我が家に滞在していきました。新学期がはじまったとたん、子どもたちの通うインターでは大役を仰せつかったりと、これまた連日とんでもなく忙しい日々で、、、。その間にも、しあわせバース@パリの定例イベントとは別枠で、スペシャルイベントを4回(聞香の会、祖母のコンサート、サアラさんのお話会、池川明先生の映画上映やサアラさんとのトーク)も企画やお手伝いで関わっていました。

 

‘祖母のコンサート?’そう、なんと92歳になる祖母が母と一緒にはるばる日本から来ていたのです。45日間我が家に二人で滞在し、パリを満喫してようやく昨日、成田へ向けて飛んで行きました。その45日間の滞在中に、祖母の趣味であるハーモニカのミニコンサートを孫からの贈り物としてオーガナイズしたのです。協力して下さったのは、パリを拠点に活躍するハーモニカ奏者のナミ(宮田奈美)さんと、ロンドンから駆け付けて下さった歌手のマヒューズ雅子さん。25名定員のところ満席御礼でしたが、素敵な歌声と、ナミさんのプロ演奏のおかげで盛り上がり、思い出に残るとても楽しい会となりました。

 

脱線しましたが、

学校と、家族と、仕事と友人。

そこにプラスして、楽しいことは絶対に削らない!という部分が非常にハッキリしているために、朝晩のプチエクササイズやワイン会やお食事会、アート鑑賞や観劇などの時間は削らない私。ということで、パリ生活1年が経ち、交友関係が広がれば広がるほど誘われる機会も10倍に増え、流れるがままにしていたら、、、

 

ブログを書いている時間、気づいたら全くなくなっていたんです。

 

9月の新学期からのスケジュール帳を見て、つくづく自分はタイムマネージングに工夫が必要であることを痛感しました。こんなに書くことも読むことも下手なのに、そんな私にも文章を査読して欲しいとか、翻訳&通訳して欲しいとか、海外生活が長いとあるんですね。大事な人から頼まれると、基本的によっぽどのことがない限り断れないタイプなので、それらも引き受けてしまうと、ついつい一日を24時間で計算せずに29時間くらいで計算している自分がいます。40歳くらいまでは夜更かしが効いたのですが、今は少なくとも5時間しっかり眠らないと翌日が潰れてしまうので、今年からは夜中の1時には眠りにおちていることを目標に生活しています。だって、やることがどんどんたまっていき。。。アップアップして首が回らなくなったら悪循環ですもんね。

 

で、ブログがポツンと取り残されてしまった。。。

 

ブログを書くことが「楽しくない」というわけでは決してないんです。「文章にするのが下手な自分にとって、ブログを書くことはとても大きなこと」というだけです。大事だからこそ、ちゃんと落ち着いてパソコンの前に座って、時間をかけて、となると、まとまった時間がなかなかとれない。

 

ただ、それも実は、現在見直し中です。このまま真剣な気持ちで向き合ってブログをアップしていたら、日々感じていること、ささやかな出来事のシェアができません。過去のブログ文章を読み直していても、考え過ぎていて、書きたいことをストレートにはなかなか書けていない気がします。2018年に終わりを告げる今、2019年からは、素の自分でもっと気楽に書いていけたら、と思っています。でもやっぱり無理かな。。。どうかな。。。

 

フェイスブックでは、日々のイベントの最新情報や、家族の写真も載せますし、かなり自分的には気楽に開示していますので、よろしければメッセージを添えてお友達リクエストして下さい。インスタグラムは遅ればせながら始めたばかりなので、本当にこれから少しずつ、という感じです。

 

それから、いつもブログをお読み下さっている方に告白します。夫の転勤でパリに来て以来、産前産後のドゥーラケアは新規でお引き受けしていても、バースドゥーラの活動自体は大きくスローダウンしています。理由はフランス語ができないためです。四捨五入するとアラフィフの私が、自分自身の動機ではなく、夫に連れ添って移住し、新しい言語を習得するというのは思った以上に大変なことでした。週に数回、語学クラスに通ってみても、一年経って、なかなか結果がついてきません。ドゥーラになって以来、スコットランド(エジンバラ)、アメリカ(ヒューストン)、イギリス(ロンドン)と、ロシア以外はトータル10年以上ずっと英語圏に住めたことがどれだけ幸運だったか、失ってみて初めて分かりました。

 

心細い分娩中をサポートしてくれるバースドゥーラが、もしフランス語がさっぱりで、現地スタッフ達とコミュニケーションがとれなかったら産婦さんも心配ですものね。ですので、最初から私ははっきり「まだ引き受けられません。本当にごめんなさい。」と毎回丁重にお断りしています。アメリカン・ホスピタルなど、英語ですべてOKというお産に限ってお問い合わせに応じているという状況です。

 

そんな中、フランスでお産に立ち会えない代わり、というのではないのですが、これまで数々のZOOMでの勉強会に参加し、私もこれからはZOOMなどを使ったスタイルで、女性の‘女神化’を応援するサポートを提供させて頂けるタイミングに入った感があります。

 

2019年始動で、今後フェースブックなどを通じて皆様にも御案内させて頂けることになるかと思います。

 

ふりかえると2018年も忙しい一年でしたが、

子どもたちが元気。家族や友人がみな笑顔、それにつきます。。。

どうぞ皆様にとっても、来年はさらなる飛躍の年となりますように。。。

 

定期的に届けられないブログに毎回お付き合い下さり、いつも本当にありがとうございます。お一人お一人に伝えられないのがもどかしいですが、心の中は皆様への感謝の気持ちでいつもいっぱいです!

 

 

ミシェル・オダン氏との再会とエフラスペース

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すっかり春めいてきましたね、お元気ですか。私は年明けから3月まで、日々吸収することばかりで、それらをまとめてアウトプットする余裕のない生活のままノンストップでドゥーラをしていました~。ハタと気づいたらもうお雛様の季節なんですね。忙しかったのは、2月末締め切りの原稿を抱えていたことも大きかったです。その原稿は東京医学社の「周産期医学」(http://www.tokyo-igakusha.co.jp/f/b/index/zc01/6/oa_table/b_z_top.html)という医学専門誌の「なぜ今メンタルヘルスなのか?」で特集となり2017年の5月号(第47巻5月号)に掲載されます。すみません発売もされていないのに宣伝してしまいましたっ。

さて、昨晩は、現在ロンドンで受講しているフランス人産科医ミシェル・オダン氏の連続12週間の講座でした。昨日は、Pre-labour caesareans and stress deprivationという題目ということで、自然な陣痛が始まらないうちに行う帝王切開によるリスクとストレスについて学んできました。特に、通常であれば赤ちゃんの血中に認められるメラトニン(ダークネスホルモン、暗闇のホルモンと呼ばれることもあるとか)について。自然な陣痛の始まらないうちに行う帝王切開によって生まれた赤ちゃんの血中にはメラトニンが皆無か、ほとんど検出できないことについて解説していたのが印象に残ります。

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メラトニン(melatonin)とは、動物、植物、微生物それぞれの生物学的な機能における体内時計(サーカディアン・リズム)として働くホルモン。さらには、強力な抗酸化物質として、私たちのDNAやミトコンドリアを保護しています。ミシェル・オダン氏は、このメラトニンのプロテクションという特性を挙げ、核DNAが守られていない状況で赤ちゃんのからだ、特に‘脳’に対してどのような影響があるかについて、お産に関わるすべての人がもっと関心を払う必要があると語りました。北欧での最近の研究データからご自身の1983年に発表されたランセット(The Lancet:医学誌)のデータまで、いろいろなEBM(科学的根拠)も引き合いに出しながら、陣痛促進剤使用のリスクと、帝王切開を行うタイミングの重要性について最後まで繰り返し強調されていました。

昨晩のオダン氏のレクチャーをひと言でまとめるなら、いかなる促進剤も使わないで、自然に陣痛が始まるのを‘待つ’ということが、ヒトにとって、とてつもなく重大だということに尽きます。若手助産師さんたちばかりではなく、私と同じくらいの世代(40代)の助産師さんたちまで一生懸命にノートにオダン氏の貴重な言葉を書きつけている姿に私は、未来への希望を感じました。

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レクチャー後の懇親の場でオダンご夫妻とお話をする機会に恵まれました。親日派で知られるオダン氏に、「ロンドンにもたくさんの日本人助産師さんが働いていらっしゃり、ドゥーラやヒプノセラピストや様々な代替医療に関わる仲間たちも一緒に月一で集まっているんですよ」と伝えたところ喜んでいらっしゃいました。また、日本で本格的に立ち上がっているドゥーラの活動母体、ドゥーラシップ ジャパン(doula ship Japan) https://japandoulaassociation.wordpress.com/ に向けてもこのような熱いメッセージを頂きました。

「発足おめでとう。日本にも必要なケアだと思います。お産はシャイホルモン、恥ずかしがり屋なホルモンの分泌を促すことが最も大事だということを大切にして、そこの部分を助ける(産む当人のプライバシーがしっかりと尊重されている時空間の創出に寄与する)役割を果たしていってください」

あたたかい氏の言葉に感動しました。。。いつお目にかかっても圧倒的な母子へのパッションと包容力があり、講演後のひとりひとりへのハグにもキスにもあたたかい氏の愛を感じます。私も今ちょっと、しばらくお風呂に入りたくない気分です(笑)。余談ですが、日本に対してずっと気になっていることがあるのだそうです。およそ1年半前、2015年の8月、順天堂大学医療看護学部母性看護・助産学のウィメンズヘルス看護学、プライマルヘルス研究会主催の第3回プライマルヘルス学会来日の直前にオダン氏は自宅で転倒されてしまい脳震とうを起こし、五反田で開かれた学会にお越しになれなかったことがありました。受け入れ側の皆さんにラストミニッツでご迷惑をかけてしまった、そのことをずっと申し訳なく思っている。。。とおっしゃっていました。

余談になりますが、実は私もその時のプライマルヘルス学会は、オダン氏は急に来日がかなわなくなったものの出席していました。東京での時間は私にとってほんのわずかな一時帰国中の時間です。氏の講演会ならスコットランド時代に看護大学などでも聞いたことがあったので、絶対に東京でオダン氏のレクチャーを聴かなくては!という訳ではなかったのですが、この時はオダン氏の講演だけでなく、ドゥーラ研究者の岸利江子さんが日本に紹介したドキュメンタリー映画「Microbirth」の上映もプログラムに入っていました。字幕スーパーを少しお手伝いさせて頂いた私としては、日本の医療者の方々、お産関係者の方々がどのようにこの映画を観て下さるのかとても興味があり参加したのです。大田康江氏によるとても興味深いパワーポイントも用意されており、映画、マイクロバースのほうも皆様真剣に観て下さり、ああやってたまたま一時帰国と重なり出席させて頂けて本当に良かった!と思っています。

昨晩、オダン氏には、ぜひお元気なうちにまた日本へ来て頂きたいですっ!と最後にお伝えしておきました。お元気そうですが今は80代後半ということで講演されることも少なくなってきたと聞きます。もしイギリス在住の方がいらしたら、4月11日までの毎週火曜日の7時からですのでいかがでしょうか。オダン氏の連続講座の詳細は会場となっているエフラスペースのサイトでご覧になって下さい。参加者全体のおよそ半数が助産師さん、残りはドゥーラや妊婦さんやバースアクティビストたちという感じです。
http://www.effraspace.co.uk/

ちなみに、2017年4月18日はThe highways to transcendence という題目でお話されますので、個人的に特にこの回は聞き逃したくないと思っております。「宇宙的、時間的な超越への高速道路(近道)」とでも言ったらよいのでしょうか。すでにオダン氏の講演は何回か聴いており、氏の本はほぼ読破しているので、何を語られるのか今から容易に想像はつくのですが、‘超越’について、ライブで伺えるのはとても貴重な体験です。今の時代、肉声で、生身の存在から受けとるダイレクトな何かって、言葉や数値では表せなくても十分に価値のある、本当に得がたいものになりましたから。

しかもこのエフラスペース、手作り感あふれるステキな空間なのです。ゆったりくつろげるソファーがあってカウンターバーがあって、ハーブティーやワインも飲める。でも一番のスペシャル感は、何といってもセレクトされたお産関係の本が買えるという点です。近所にプリンター・アンド・マーティンという名前(http://www.pinterandmartin.com/)の出版社があって、素晴らしい出産関係の本をせっせと出版しているのですが、エフラスペースはその出版社の展示スペースのようなものです。ほんとうに、‘せっせ’と思わず表現したくなるようなクラフトメーキングな書籍ばかりを出しているインディペンデント系の出版社です。

例えば、薄い冊子の「Why ◯◯is matter?」シリーズ。なぜお産には◯が必要なの?と、○の部分には、それぞれの刊の内容に応じて、‘doula’とか‘midwife’とか‘spirituality’といった言葉が入ります。どの刊もさらっと読めて、分かりやすくお産におけるそれぞれの○の重要性を理解できる構成となっています。他にも、シーラ・キッツィンガーの伝記(http://www.pinterandmartin.com/a-passion-for-birth.html)などは厚さ7-8センチのハードカバーで、こちらはかなり読みでがあります。私も15年近く前にこのシーラ・キッツィンガ―(http://www.web-reborn.com/interview/kitzinger.html)というイギリス人社会人類学者について知り、頭をガーンと殴られたような衝撃がありましたが、彼女が亡くなられた今、この本の価値はとても大きいと思います。

エフラスペースでは、常時様々なマタニティー関係の講座や、ヨーガ、産後ママの子育てグループのほか、看護学、助産学の教授による学術発表レベルの講演なども単発で行っていますし、選び抜かれた良質な書籍も手に入るのですから、ロンドンでこれから妊娠するかもしれない、産むかもしれないという方は要チェックスポットです。住宅地の真ん中に建つ、一見ひなびた地区公民館のような風情ですが、ビクトリア線のBrixton駅から私の足で7-8分です(グーグルには徒歩12分と表示されているけど)。バス37番なら徒歩1分に停留所があるので意外とアクセスはいいと思います。イメージとしては横浜のUmiのいえ(http://www.uminoie.org/p/umi.html)と似ているかもしれません。ロンドンのエフラスペースに、横浜のUmiのいえ、どちらも貴重な子産み子育てのリソースセンターですので、こういう空間が世界中にもっとたくさん増えていくようにとの願いを込めて紹介させて頂きました。

Recipes for Normal Birth(正常産のレシピ)

この写真が、赤とピンク、2色のフェルトで縫ったハンドメイド‘命の道’です。
この写真が、赤とピンク、2色のフェルトで縫ったハンドメイド‘命の道’です。

少し前に、ここロンドン南西部でSara Wickhamさん(http://www.sarawickham.com/tag/induction/)の勉強会に参加してきました。

Saraさんはイギリスだけでなく世界的に注目されている助産師さんで、単独でデータを収集し徹底的に検証するというそのインディペンデントな姿勢は本当に素晴らしいです。嬉しかったのは、12年くらい前にエジンバラ市内の看護大学で行われた数回の公開講座に出席(看護学生でない私のようなドゥーラも多く出席していました)していた私のことを覚えていて下さったことです。単に日本人は珍しかったのでしょうが、生徒一人一人に目を配る温かさを感じました。

ともかく、先日のロンドンでの勉強会は充実していて、そのタイトル、Recipes for Normal Birthも気軽に学べそうな魅力にあふれています。美味しいご飯のレシピが欲しいように、誰だって正常産のレシピって?と覗いてみたくなりますよね。サラさんにRecipes for Normal Birthを広めることになったきっかけを伺ってみました(文末の英文も参照)。

「世の中には様々なたぐいのお料理本や、‘これは効く!’という処方箋や、指南書などが出まわっていますが、すべての人にぴったり当てはまる一冊なんて存在しません。お産においても同じこと。一律に行うルーチン介入という考え方は、すべての女性にフィットするはずがないのです。これからはルーチンという発想から身を遠ざけ、前向きな気持ちで、より現実的になっていくことが求められているのです。つまり、助産師として、助産学生として、医師として、ドゥーラとして、産前教育者として、そしてその他多くの周産期母子ケアに関わるケアの提供者として、一人一人に考えてみてもらいたいのです。‘一体、何が自分の力でコントロールできる範囲のものであるのか。そして、どうやってもコントロールできないものは一体何なのか?’ということを。たとえ思ったように進まないシナリオに出くわしても、そこで乗り越えていけるだけの基本的材料(basic ingredients)を確認しておきましょう。想定外への対処法や、思わぬ必要性に備えて用意しておきたいリソースの詰まった袋(a kitbag of resource)は、お産に関わるすべての人がそれぞれに持っておきたい大切なレシピです」といった風に、お産の過程とお料理のイメージを重ね合わせています。確かに、Saraさんの仰るポイントは分かります。妊娠中から自分なりのレシピを整えておくことの大切さは、母子ケアに携わるケアギバーばかりではなく、実は妊婦さんにこそ意識してもらいたいなと思います。

妊婦さんの場合には、さまざまなことを冷静に想定しながらも、感覚的なものを総動員して、さまざまなレシピの中から自分のレシピを選ぶ。例えば、住んでいる場所、その時の赤ちゃんの様子、自分の体調や、もともとの体質、環境や周囲のサポートなど、その時の状況から総合的に判断して、‘これが今ある自分の持ち札の中で最善の選択であろう’と思えるものを選び、そこで最も必要なものは何かについて考える。つまり、何が自分の求めるもので、自分にとってそれは本当に必要なことかを見極めていく、といくわけです。

‘レシピ’という言葉がぴったりなほどにいろいろな要素がよくも悪くも盛りだくさんな今のお産。自分なりに真剣に学び、選択していくことが、産後の納得感やその後の充実した子育てにつながっていくとても大事なプロセスだと感じます。そして、シンプル イズ ベスト。お料理の場合も、原材料にこだわったシンプルなものほど美味しいことを忘れてはなりません。

脱線しましたが、Saraさんの勉強会では、赤いフェルトを使って‘命の道’を縫う手芸コーナーなどもあって、美味しいランチとともにとても充実した勉強会でした。お産が進まない時に、トイレにこもって便座に座ったりすることは知られていますが、その際に、アロマオイルを便器の中に数滴垂らすと効果的といった使い方や、分娩中の姿勢といった実用的な知恵や知識もこの日はいろいろと学びましたが、ドゥーラの私があらためて確認した何よりも得難いものは、ドゥーラの役割の根幹をなす‘お産においてただ純粋に寄り添う’ということの意味についてです。

妊産婦さんと一緒に過ごす。椅子に座っているだけでもいい。産婦さんの傍らでチクチク裁縫をしたり、陣痛中に編み物をしているだけでもいい。その存在がどれほどの力となり、実際のお産によいインパクトを与えるかについて、Saraさんはシステマティックに、また明快に説明し、会場のドゥーラたちを何度もハッとさせました。

彼女のオフィシャルサイトには、たくさんの論文が惜しげもなくアップされていて、人工オキシトシンを分娩中に使用する母子への影響について分かりやすくまとめられた論文

( http://www.sarawickham.com/wp-content/uploads/2015/07/05-2015-01-Synthetic-Oxytocin-looking-beyond-the-benefits.pdf )

なども読めます。産むかもしれない方には出来るだけたくさん眼を通しておいて頂きたいと願ってやまないものばかりです。「いくらでもダウンロードして使って下さい」とSaraさんご本人も薦めていらっしゃるので、オフィシャルサイトからこの機会にみなさんも無料でいっぱい学ばれてみてください。

Recipes for Normal Birth by Sara Wickham

I think we need to move away from thinking that routine practices are the answer, and to stay positive by getting realistic about what we – as midwives, student midwives, doctors, doulas, childbirth educators or other birth workers – can and cannot control.  We need to understand the basic ingredients, know how to adapt them when things aren’t going to plan, and have a kitbag of resources to draw upon when something a bit extra is needed.