オリンピック級アスリートの奥様の出産に立ち会いました


まだエジンバラに住んでいた頃、日本大使館勤務の奥様の紹介で一流アスリートの🥇さんの奥様のお産に立ち会いました。

奥様のAさんは本当に頑張り屋さんで、産前5−6回はお会いしましたが、毎回ご自宅から一時間のウォーキングがてら我が家に通って下さっていました。

考え方もとても柔軟で、お若いのにとても堅実で賢い女性です。

バースプラン作成にも意欲的で、瞑想や骨盤エクササイズや呼吸法にも真剣で、他のメニューもすべてしっかりこなされ、宿題もきちんとされ、、、と、

とにかく妊娠中のマインドセットがAさんほど完璧な女性はいない!と、私のほうが毎回感動するくらいのパーフェクト妊婦さんです。

しかも!

召し上がっているお食事も。。。

「何を食べましたか〜?」って、献立や日記や写真を見せて頂いたりしながら聞き取るんですが、毎回、私のほうが食べたくなるようなバランスのよい食卓。

ご主人様を支えていらっしゃるだけあって、栄養士の作るご飯のよう。

実家のお母様が日本からたくさん食材も送って下さるようで、ご自宅にはヘルシーな食材がいっぱい。

Aさんは日本で女優さん?アイドル?タレントさん?(海外が長すぎて芸能界については私は究極の浦島花子状態)だけあって、とっても見目麗しいお方なので、ストレッチマークがお腹につかないようにちゃんとオイルをすりこんだりしてセルフケアも徹底。

なにからなにまで完璧すぎるくらい完璧で本当に驚きました。

これだけ素敵な女性なのだから、

ご主人様が惚れたのも凄くわかる!

っていうか、

ドゥーラ なんて要らないよ〜Aさんには〜!

と安心して思えるような妊娠期間でした。

当日のお産には、日本からお母様も姉妹もいらして下さったおかげで本当に和やかな空気でした。

キッチンでは、Aさんのお母様がコトコトお肉を煮込んで下さっていたり。。。家庭的な空気感のなかで陣痛と向き合っているAさんはどこか安心された表情です。

私と二人だけの時には見せない、さらに愛らしい表情で、くつろいでいる。。。

それはそうですよね!

慣れない外国暮らしでの妊娠生活、大変だったと思います。

さて、実際のお産ですが、

妊娠中から来ることは聞いてはいましたが、実際に、強力な助っ人が日本からお二人いらっしゃることで、当日のご自宅のエネルギーは、正直、もう何も要らない、というものでした。

ドゥーラ の私は、邪魔にならないように、また、この機会にぜひ血のつながった母娘、姉妹だけで心おきなく愛の絆を確認しあい、他人に気兼ねせずに過ごしてもらいたいなぁと感じました。

Aさんは、慣れない海外暮らしでどれほど実のお母様が恋しかったことでしょうから、たっぷり水入らずで甘えん坊になってほしいなぁとも感じました。

あ、誤解しないで下さいね。もちろん、夫婦の絆はとっても大切です。

ただ、お産がなかなか進まない時に、わざとパートナーを家から出して、空気を入れ替えることによって、不規則だった陣痛が一気に進むことがあるという外国の話を読んだことがあります。

やはりお産とは古今東西、女たちの間でまかなってきたライフイベントなのですね。

そこには、たとえ愛しいパートナーですら意識、無意識のうちにまったく必要としない、本人だけで踏み込んでいく境地があります。

私も、二人目を産んだとき、なかなか陣痛がこないときに、徹底的に自分と向き合いました。

そうしたら、自分が自分の身体に集中できず、なんとなく演じてしまっていることに気づきました。

「二人目だから大丈夫よ」的な余裕をみせないといけない、

とか、

「上の子を心配させないように、わざと大丈夫だからねお母さん」と言っちゃう

とか。

そこで、呼吸を変えて、カラダの力を抜いて、素直になることにしました。

すると、

夫よ消えてくれ〜〜〜〜。

二時間くらいサイクリングでもしてきてくれ〜〜〜。

と強く感じたんです。

目の前でバスタブにお湯の準備をしてくれようとしている夫に対して、もう無茶苦茶なこと感じているのは自分ではわかっているのですが、その気持ちがいったんわいてきたら抑えられない。

そんな自分に当時は一抹の罪悪感を感じました。

でも、今はそう思って、ひどくもなんともありません!って言い切れます。

お産では、なにを感じてもよいのです。

どう振る舞ってもお産ではかまわない。

無意識の抑圧だったり、

無意識のうちにいい子ちゃんを演じてしまっていたり、

無意識のうちに自分の本当の欲求に気付けなかったり。。。

そんな複雑で言葉にはならない、

実は本人すらも気付けていない産婦さんの感情やエネルギーを

その時の空間、周囲の人々との関係のなかでドゥーラはふと感じ取り、

少しでもスムーズにお産が進むように、産む女性の可能性を信じて手厚くおせっかいなことをしたり、逆にわざと放置したり

工夫や試行錯誤していくのもドゥーラの仕事です。

それらの工夫が結果的に効果がなかったとしても、トライすることには意味があります。

だって、変化していくのがお産ですから。

あかちゃんがいつまでも子宮に居続けては困る。

ひとたび陣痛がスタートしたら、変化しつづけて、移動しつづけて、目には見えないレベルであっても動き続けます。

だから、数値でははかることのできない工夫や、チャレンジで変化球を与えていきます。

だから、「何かテクニカルなことをする=doing 」ではなくて、

産婦さんを心から信じている!という在り方、つまりbeingというのが、ドゥーラ 、Mothering the Mothersの本質なのです。 

医療者のように◯◯を測って、◯◯を打ってという行為はできなくても、

気持ちはしっかり寄り添いながら、女性の可能性を信じるのがドゥーラなんですね。

医療者とは違う領域で、違うアプローチで女性を支えられる存在。

すみません、脱線してしまいましたが戻ると、Aさんのお産は一言で言って、本当に美しいものでした。私はAさんの可能性を最後の最後まで本当に信じていました。

スコットランドの王立病院でパートタイム勤務の傍ら開業されていた助産師さんを伴った自宅分娩、その自宅のお風呂にはキャンドルが何箇所にも灯されていて。。。

Aさんはご自身に集中されようとしていました。その光景は絵そのものでした。

🥇さんのAさんをマッサージしたり、労るサポートも素晴らしかった!

Aさんも、ちゃんとその愛に答えて一生懸命に陣痛の波を超えながら、自分で産むんだ!という覚悟を決めていかれたと思います。

ご主人様の本物の愛と、お母様の愛に満ちた想いと、姉妹の心のやりとりと、

スコットランド人助産師に支えられて、新しい命をこの世に元気に送り出したAさん。

産後にAさんが私に贈って下さった長い手紙は今も私の宝物です。そこには、まるで写し鏡のように、私のAさんへの想いが綴られていました。

あんな達筆な感謝のお手紙を書いて下さって、Aさんはほんとうに律儀な方だなぁと今も感心してしまいます。

もう50近い大人の私にも出来ないなぁAさんのような立派な物腰。

あれから10年以上経って、究極のメカ音痴で発信をしていなかった私もついにSNSを活発に始めるようになりました。

最近も、Aさんやご主人様の姿をメディアで拝見しては、こころあたたかくなっている次第です。

一回一回のお産から学ばせていただき、ドゥーラとしての未熟さを憂い、人としての至らなさを反省し、今日まで一歩ずつ歩ませて頂いてきたことが、ここパリにきて、少しずつ形になってきていることを感じています。

いつもたくさんの気づきと愛と感謝を教えて下さった🥇氏とAさん、そしてご家族のみなさま、本当にどうも有難うございます!

次へ続く→

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拙い昔話をお読み下さり有り難うございます!

医療者の語るドゥーラ についてもYouTubeアップしましたので、
登録してご視聴くださる方に心より感謝いたします。

ノマドなドゥーラが運営するノマドゥーラ ウェルネスで

ケアを提供しているLOVEドゥーラAkikoの公式サイト

https://nomadoula.com/pcbo/

ドゥーラ に密着した医療者(助産師)の語るドゥーラ の役割とは?

第28回 母体は地球の一部

ルイーズのアートに感じることと‘変革につながるお産’には共通点がある。

‘Transformative experience’、つまり「変革・変容につながる体験」となりうる可能性をはらんでいる。

敬愛する三砂ちづる先生(*1)が、エジンバラの我が家に息子さんと遊びにいらして下さった折に話して下さったが、‘変革につながるお産’には、いくつかの必要条件というか、因子があるという。

その因子のリストに、‘ほの暗い光’や、‘適度な湿度’と聞くと、お産とは、産む環境によって大きく影響されるものなのだと納得せずにいられない。

近代化によって、お産の何が失われたのか

いつまでも夜の明るいこの季節

いつまでも夜の明るいこの季節、少し自転車で走らせるとこんなステキな場所と遭遇できる。

海が、潮が満ちては引くように、古今東西、女性はカラダという器を共鳴させながら命を産みつないできた。

時代は変わり、今はほとんどのお産が施設内で行われている。

いかに効率よく産むか、安全に産ませるか、ばかりが注目されてきた近代化以降のお産。

個人のお産体験は、医療化の波によって、どのような影響を受けてきたのだろうか。

欧米を中心とした世界では、一部のこころある助産師や医師といったケア・ギバーズと、人類学者や、社会学者のような学者たち、そして、産みゆく女性たちの3者が一体となって、ここ数十年間、継続的に、お産における産婦の‘autonomy’(←この意味は後で書きます)をあらためて価値付けしようとする動きがみられる。

お名前を挙げはじめるときりがないが、「お産のリボーン」をはじめ、島袋伸子さんや日隈ふみこ先生、松岡悦子先生など日本にも、それぞれの立場ですばらしい活動をされている方が数多い。

そこまでして尊重されなければならないお産のautonomyとは、

いったい何?

実はそれこそが、お産の勉強をはじめて以来、

私の一番の関心事である。

まだ日本語にきちんと訳されきれていない感のある言葉なので、つい慎重になってしまうが、辞書には、‘自律性’、‘自主性’、‘自治’で載っている。

お産は、こころとからだを再統合する癒しのプロセス

夜が怖くない

↑この写真は夜10時。夜が怖くない、暗闇にならない。白夜の季節は夜更けに自転車に乗るのが楽しくなる。

ケルトの大祭が真夜中の12時にスタートすることをおもっても、人類はこうやって太陽のめぐりに合わせて神事を執り行ってきたのだと思う。

大自然の営みと、自分の内側の営みを共鳴させ合いながら私たちは在ったのだ。

私たちは、大自然に生かされている自分に感謝をし、自分の心身にお伺いを立てながら、autonomous(autonomyの形容詞)な存在として、在った。

それがいつしか、ヒトがヒトとして未来に続いていくための、最もリプロダクティブな営みであるはずのお産において、autonomyを失いつつあるというのは、どういうことを意味するのか。

言葉足らずの自分だが、今の私にとってautonomousなお産とは、周囲によって方向づけられることなく、産婦本人の持てる力を余すところなく発揮できるようなお産をさす。

結果、予想外のことが起きて落胆することも、絶望を感じることも、思いもしなかった変容も全て含めて、自分の人生に起きたこととして体験していくのだ。

悲しみも、幸福感も、狂喜乱舞するような心の状態も含まれ、それらが自分の器の中で溶け合って、それでも人生の時間が続いていくことを受け入れていく、

それが私なりのオートノマスな在り方だ。

同時に、こころとからだを再統合してくれる癒しのプロセスでもあると思うのだ。

96歳のアーティストが描く、妊娠・出産・授乳シーンは・・・

前回27回目で書いた人生の遍歴を経た老婆ルイーズ ブルジョアの描く妊娠・出産・授乳シーンも、つねに相反している。

もろくて。。。それでいて力強い。

ぎこちなくて。。。同時に美しい。

純粋に、母体が地球の一部であり、

花一本のようにはかなく、同時に、

すでに完全であることを思い出させてくれる。

まるで人災・天災で傷ついた大地が、

それでも再び萌え、

自らの力で癒えようと、

意識なき意識を絶えず働かせているように私には思える。。。

創作活動を続けるルイーズ半球のガラスの中で納められる出産シーン
絵画、立体、彫刻と、カタチにいっさいとらわれず、創作活動を続けるルイーズ半球のガラスの中で納められる出産シーン。360度、絶えず観察される母子、という感じがした

(注1)三砂ちづる(みさご ちづる)
津田塾大学国際関係学科教授。専門はリプロダクティブヘルスを中心とする疫学。著書に、『月の小屋』(毎日新聞社)、『コミットメントの力』(NTT出版)、「疫学への招待」(医学書院)、「昔の女性はできていた」(宝島社)、「オニババ化する女たち」(光文社新書)、『 きものとからだ」(バジリコ)、ほか多数

(注2)
たとえば医療人類学の世界では、ロビー・デービス・フロイドや、エミリー・マーティンが女性のエンパワメントにつながる研究を残していて興味深い。

次号に続く→

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お読み下さりありがとうございました。

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ちなみに↓今住んでいるフランスから重力を使ったお産について、ちょっと偉そうにYouTube動画撮りました(すみません)。動画編集してくれているのは、この時の娘っ子です。今度のお誕生日で17歳!❤️宜しければチャンネル登録してご視聴くださると嬉しいです♪

第17回 この人に逢いたかった〜

大学院の生活がアップアップなのに、私ときたらどこまで貪欲なのだろう。

でも、逢いたい方には逢っておきたい❤️

しかも、

かえって両方同時に進めることで学業がはかどるだろうと思い、30年以上ホームバースの利点について語ってきたナディーン・エドワード博士の元を娘を連れた。

予想通りの素晴らしい女性だった。

もう感激し過ぎて、私は首振りべこ状態であった。

そして、彼女の主宰する産前産後教育者の2年間コースに申し込んだのだった。

月に2回、土日丸2日の内容で、子連れでも通えるという。

エドワーズ博士は、お産の世界で有名なAIMS(お産における医療消費者センターのような組織)の創始者のお一人だが、現在、エジンバラ市内でBRC(バース・リソース・センター、その後、名称はPPCに変更)という施設を運営している。

妊娠した女性や、赤ちゃんを抱えたおかあさんたちが産前産後クラスに通うスクールのようなところで、彼女の長年の活動内容に私はこころから共感した。

そこで、教育者も養成しようということで、SBTA(スコティッシュ バースティーチャーズ アソシエーション)を主宰していたのだ。

ナディーン・エドワード博士の話

赤いチェックのストール

窓辺から見える木の根本に赤いチェックのストールが落ちている。

なんとなく秋の気配を感じて心が静まる。

日本からの来客を快く出迎えてくださったエドワーズ博士。

エルダリーフラワーのハーブティーを入れてくださった。

『産みゆく女性が、妊娠、出産、育児を通して、自分のこととして起こるひとつひとつの出来事の意味をていねいに考え、本当の意味で、物事を主体的に判断していくプロセスで、真の自分と出遭っていけるようサポートする』

というのは、口で言うほど簡単なことではない、とお茶をすすりながら語る。

『こころと身体のつながりはとても大切です』

という部分に力を込めて、私をじっと見つめた。

つい先月、ご自身のお嬢さんのホームバースに付き添ったばかりというエドワード博士は続けた。

『今まで、数えきれないほど多くの女性たちの声を聴いてきましたけど、お産とは身体的、精神的であるばかりか、特にその人のスピリチュアリティーに大きく影響を与えるものです。

お産は、特にホームバースは、ルーティンケアや不必要な医療介入から身を守り、一対一のケアを受けられるという点で、産む女性の自律性を高める可能性に満ちています。

豊かな自律性を生むお産とは、自律的な助産師の存在によって決まっていくものです』と、とうとうと語るエドワーズ博士。

自律性—-肉体的、精神的、霊的な気づきまでも

この自律性というのが興味深い。単に肉体レベルの話ではなく、人生を豊かに生きていくうえでの必要な判断力、決断力を高めたり、霊的な気づきまでをも含んでいるというからだ。

どうやらここスコットランドでは、ただの『お産好き』だった私のような者にとって、想像以上にいろいろなことを学ぶ機会がありそうだ。

今の私の英語レベルでは正直きついが、エドワード博士おすすめの専門書も原書でいろいろと読んでいければなぁと思っている。

えっ?日本語の本ばかり読んでいるうちはダメって?

ハイそのとおり(涙)

冒頭にも書いたとおり、今は院の課題図書以外はまだ日本語の本ばかり手にとってしまうけど、出来るだけ英語の文献は原書で読むようにしなければなーと思う。

現状では、英文読解だけでアップアップで、行間を読み取ったり、読後感に浸る余裕は全然ないけど。。。

目下の目標は、英語の本を読んでも『自分らしさ』に水をやったような清々しい気分になれること、かな。

それにしても、奥がふか〜い道に踏み出してしまったものだ。

→次号に続く

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お読み下さりありがとうございました。

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ちなみに↓文化人類学的に見ても面白い腸内細菌についてYouTube動画アップしました〜!チャンネル登録してご視聴くださると嬉しいです♪