✨島田カオルさんの絵です✨
【雨宿りから始まるドラマ】
15年くらい前のことだ。
エジンバラのニュータウン地区の一角に
オシャレなカフェアートギャラリーがあった。
あの日は小雨で寒くて、雨宿りもしたくて、
確か、郵便局の帰り道かなにかに当時2歳の
娘と2人で飛び込んだのだった。
私は自分のロングコートをまず脱いで、
娘の赤いてんとう虫
のアップリケの
縫い付けられたジャンパーを脱がせる。
思わず両手を広げて深呼吸したくなるような
温かいコーヒーの香り。
店内の居心地の良さがベールのように
私たちを包み込む。
壁にはそこここにとっても素敵な
イラスト画が飾られていた。
ウェイターが子連れ客用にクレヨンの
入ったバスケットとメニューを運んできた。
それらを使って娘はさっそくランチョンマット
の厚紙に何か不思議な物体を描き始めた。
いつも感じることだが、子どもが夢中に
なっていると、親はホッとひと息つける。
自分の感覚が戻ってくる。
煎れ立てのコーヒー
美味しい!
思わずカウンターに向かってニッコリする。
囲まれているだけで元気になる
カラフルな色の壁のイラストたちに囲まれて、
ほぅ〜っとする。
そこは、
そこだけは、
まるでオアシスみたいな時空間だった。
なかなか、こんな風にすべてが揃うことはない。
カフェを出る時に目についた芳名帳(真っ白なノート)
を見ると、壁一面に展示されたイラスト画を描いた
アーティストからの言葉で、
『Thank you for coming.
Pleased leave your comments.
Kaoru 』
と書いてあった。
えっ?
誰カオル?
なに日本人この人

こんな素敵な絵を描く日本人がいたんだ!
娘は芳名帳にイラストを描き、
私は感謝の気持ちと番地をそこに添えた。
すると、しばらくして…
娘の宛てにかわいい封筒が届いた。
封筒にはブタのイラストが描いてあって、
メッセージもブタからのセリフとなっている。
ふざけてる。
この人、完全に面白い!
私と娘はアイディアをひねって御礼を書き、
次に電話で話し、程なくして、カオルさんは
お茶に来た。
初めてお会いした瞬間、
きゃーなんてかわいい女神!
そう思った。
髪の毛も雰囲気も大好きな
オノヨーコさんのようで、
すっぽり私の腕に収まってしまうくらい
小さくて。
ムーミンのミーみたい。
初めての気がまったくしなくって、
さぁさどうぞどうぞとリビングへ通した。
そこからず〜っと、カオルさんの長年の
モティーフのブタやワニのダイル・クロコダイル氏
の身の上や、仕事のできない夢想家のメイドさん、
レイジーちゃんについてや、呑んだくれの医者
フラゴン氏の話で盛り上がった。
その日から、私たちはすっかり仲良しになり…
ついに彼女は我が家の上の階に引っ越してきた。
家族同然の楽しいお付き合いが始まったんだ。
ある日なんて、彼女は絵の具
にまみれた
白衣のまま、よろよろと我が家に降りてきて、
かな〜り強引に私によってニンジンのスープ
を食べさせられた。
だって、丸一日なにも食べずに一心不乱に
描いていた、なんて言うのだから。
食事は大事!とカオル姉さんを叱りながらも、
愛おしい。
アーティストの生活とはこういうものか、
となかば呆れながら私たち家族はこの
最高最強のカオルさんと数年過ごした。
何せ、フツーじゃないから、感性が。
私はカオルさんといた時間、かなり
ありのままの自分でいられた。
定期的にパジャマで飲む『カオルバー』も
私だけにオープンしてくれた。あ!あとは
ハープ奏者のミオさんもいた。
3人で語り合うのは魔法について。
ケルト神話やエジンバラのパワースポットや
貝殻や化石、クリスタルのことも話題になって、
白夜の季節は、いつまでも明るい北国の初夏。
友情を感じ、
生かされていることを感じる。
ケルトの大祭。
ロッホ(湖)の静けさ。
あぁまたあの頃に戻って、
娘の小さなジャケットについた土を
ぽんぽんと払いたい。
娘をチャイルドシートに乗せて
自転車でエジンバラの旧市街を駆け抜けたい。
戻らない過去が狂おしくなることは
誰にでもある体験。
私はたまに、懐かしい思い出が夢に出てきて
ガバっと起きてしまうことがある。
笑っていたり、
顔が引き攣っているのが自分でも分かったり、
耳までつたう涙で目覚めたり。
でもハートは決まってドキドキしている。
戻らない過去が今日の心臓を
ここまで早鐘のごとく揺さぶることが出来る。
いい思い出をたくさん持つことは、いいんだ。
良かった、と思えることがなにか一つでもある。
そんな日が集積して、個人史がカタチづくられる。
当たり前の毎日を、
良い日に変えていきたいよね。
変えていけるのは私たちの捉え方次第、だよね。
だから、この人生は魔法だって知って、
今日も、生かされよう。
いざなわれよう、魔法の赴くままに
!
この投稿写真の絵はカオルさんの作品。
この写真の文章も、カオルさんの文章。
面白すぎる女神だ。
ちなみに彼女は今も生きている^_^。
『おばあちゃん
』になるお年頃だというのに、
まったくね、感性は私よりずっと若い女神。
マダムカオル。
今は六本木あたり、かな?
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駅であった話をおしゃべりしているたわごと動画もあります♪
あと、2020年12月1日は「よっちゃん&あきらちゃんのたわごとトーク」にゲストで出てきます〜❤️どんなたわごとが自分から飛び出してくるんだろう♪
#LOVEドゥーラAkiko