短編公開!約10分の贈り物

こんにちは、木村章鼓です。ずっと継続していた子育てサロンが昨年10周年を迎え、ヒューストン時代に毎回参加して下さっていたお母さん方が定例会で素敵なお祝いをして下さいました。その時にケーキやカードと一緒に、ご家族で食べてね!と焼いて下さった直径30cmほどの手作りクッキー!もったいなくて、ありがたくて、ひと月くらい眺めていましたが子供たちに食べられました〜。お味も美味しかった〜涙。。。アメリカから遥々イギリスへ引越しするの今更に本当に悲しかったです。。。

さてロンドンは秋から冬へ。庭先でも、著しく日々の変化が起きています。このふたつの季節のはざ間で、私は体調を崩し、今週は痛む扁桃腺をなだめすかして何とか生活しています。夜は早めに横たわりながら、つくづく、バランス感覚って大事だなぁと痛感しているところです。

バランスといっても、ケースバイケースでほんとうにいろいろな意味合いがありますね。

ヨーガなどエクササイズを通して学ぶことのできる重心のバランス感覚はもちろんのこと、良好な人間関係における相手との距離を尊重する見えないバランス感覚、食欲と実際に摂取する食物の量といった衣食住の欲求を適度に満たすバランス感覚、途方もないヴィジョン(夢)と現実との間で折り合いをつけて生きていくバランス感覚、「ありのまま」と「適度に気を抜く」をうまくブレンドしたLet  it be(手放す)のバランス感覚。。。挙げていくときりがありませんね。

どんなことであれ、すべてに共通しているのは、そのバランス取りをどのくらい自分が意識できているかということ。やじろべいは今、どちらかに触れているか、または静止しているか。どれだけ自分の心身が心地よく感じているか、といったことは‘自分にとっての良し悪し’を知るバロメーターではないでしょうか。

実は今日、ヒューストン時代にお世話になった映像作家のAPOさんから、とても素敵な映像をプレゼントして頂きました。私のドゥーラとしての軌跡を追ったAPOさん渾身の短編です。

彼女に心からの感謝を捧げると共に、APOさんの中に芽生えた「ドゥーラってなんだろう?」という‘疑問’を追跡していくプロ魂というか、やる気に対して、私は心の底から感動しました。そして同時に、自分の中で今後、ドゥーラとしてのバランス取りをきちんとしていかないとなぁと気持ちがなんとなく引き締まっています。

どんなに素晴らしく撮って頂いても、実物に会ってみたら「なーんだがっくり」というのは、申し訳ないですものね。この大切な贈り物をこそばゆく感じることなく観ることのできる日がくるように、この先、もっと精進して一歩一歩学んでいきたいと思っています。

10分ほどの作品ですので、お時間があったらどうぞご覧になってみてください。

たった10分ほどとはいえ、気の遠くなるような時間と労力を惜しまずに費やして下さったAPOさん。広大なヒューストンでは比較的ご近所さんだったとはいえ、ご自身も授乳中のママとして忙しいのに、この作品にたくさんの想いとメッセージを込めて下さいました。

以下、   APOさんご本人がこの作品に寄せて下さったメッセージです。

<映像作家、APOより ~作品に寄せた想い~>

ドゥーラという職業をあきこさんに出会うまで知りませんでした。

切迫早産で長期入院した友達は長期入院すると看護婦さんには気を使うようになる、親にも、夫にも。きちんと赤ちゃんが育つのか?という恐怖と紙一重で、産むまではという気持ちで何とか乗り越えたけど、未だにその当時を思い出すと辛いと言ってました。

もしもあきこさんと出会ってたら、、、。

気を使わず、何でも話せて、頼りになる存在が妊娠期間、産前、産後は必要だと感じてます。

私自身も出産で、大学病院での検診の都度に先生が変わったり、助産師さんも初対面の人だったり。ずっとその期間支えてくれる人がいたらどんなに良かっただろうかと思います。

日本でも産後うつ、マタニティーブルーという言葉が聞こえてくるようになりましたが、
‘ホルモンの関係でそうなる’という一言で、実際に手を差し伸べてくれる人が少ないと思います。

出産直後は動けない。
心療内科に行けない。
こんな小さな事を相談していいのか?
お母さんになったんだからしっかりしなきゃ。
こんなに大変だとは思わなかった。

という時、電話ができ、訪問してくれて、産前産後のケアもしてくれるドゥーラという存在は
きっとこれからの日本を変えてくれる。

あきこさんは、イギリス、アメリカという最先端で学ばれている方です。
私の拙い映像ではなく、日本でも大々的に取り上げて欲しいと思いました。

映像を通し、あきこさんの素晴らしさが少しでも伝わればと思い制作させて頂きました。
どうぞご覧になってみてください。

2014年11月5日 APO

お産、政治、女性たちの声

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*世界の聖地のひとつとも言われるグラストンベリーに古くから伝わる聖なる泉、チャリスウェルを訪れました。見事な庭園で一日のんびりするもよし、フラワーエッセンスのワークショップに参加したり、本屋でお気に入りの本を探すもよし。私たちのお気に入りのスポットとなりました。

英国からの独立を問う住民投票。
結果は賛成45%、反対55%で、スコットランド独立は否決されました。

現在はロンドンに、そして以前はスコットランドに4年間ほど住んでいた者としては、正直、ちょっぴり残念な気持ちもあります。

もちろん、これまでのようにUK内に留まれば利点も多いでしょうし、国際社会に(大国UKとして)与える影響力も大きいとは思います。

現実的に考えてみても、通貨や今後の医療システムについてなど白紙の部分が多く、先行き不透明な独立案でしたから、まわりからみたら夢物語にしか見えなかったかもしれません。

今回の選挙戦を当初は静観しようとしていた(先のメルマガにも書いた通り、どちらでもいいのでは?むしろ独立などしないほうがよいのでは?と冷静だった)私が揺さぶられたのには、大きな理由があります。

スコットランドの助産師、ドゥーラ、母親の一部が立ち上がり、独立を求めて動いたことです。

「子産み子育ては文化そのものの!」彼女たちはくりかえしました。今のNHS(日本の国民健康保健のようなもの)のあり方のままでは、女性が自分の持てる力を使いきることのできるお産は存在しえないと彼女たちは絶望視しているのです。

しばらく前に法が書き換えられ、現在、開業助産師は高額な医療保険に加入していなければお産をとれないという危機的な状況に追い込まれているイギリス。

長年地元で開業してきた方々が今、ことごとく廃業に追い込まれたり、NHSコミュニティーミッドワイフチームに組み込まれてきています。

30年も地元で根を張って頑張ってきた開業の方々が、今、医療システムの激変に伴い悲鳴をあげるのを見るのは辛いです。

「20年、自分なりの理想を求めて助産師をやってきたのに、まさか今更こんなことをさせられるとは。。。」とこぼしたり、「なんとか今年はもちそうだけど、来年は私も病院勤務かな」と暗澹たる未来を憂える方もいます。

そういう背景があっての今回の選挙。スコットランド独立をめぐる問いは、彼女たちにとって、いえ、産む性である女の人にとって、とてもコアな部分を直撃するような問いかけだったのです。

*余談ですが、億万長者のアッシュクロフト卿は、頻繁に世論調査http://lordashcroftpolls.com/2014/09/scotland-voted/を行っており、今回の選挙結果についても、年代別投票結果を公表しています。サイトの管理人である菊川智文さんのお作りになった世論調査の結果を参考にさせて頂くと、 2千人余のうち、25-34歳の年代層の女性の独立賛成率は他の世代、性別と比較して、59パーセントと最も高く、ほぼ6割になっていますhttp://kikugawa.co.uk/ リプロダクティブな活動に関心があると思われる25-34歳の女性たちが最も多く独立を希望している。。。やっぱりなぁ、と思わずにいられません。

‘自分たちは何者なのか?’

‘一体どうして今のような枠組みに仕切られるようにならざるを得なかったのか?’

投票日数週間前から、私のもとにもそのような問いかけが個人メールやソーシャルメディアを通して届くようになりました。‘産み方に自由が認められるように、私たちは政治に関しても自主性、主導権をもつべきだ!’という女性たちの悲鳴のような声が連日、それこそ24時間ノンストップで飛び交ったのです。

‘自分たちの住む場所に関する政治は自分たちの手の届く範囲内でなされるべき。さもなければ自分たちのお産は取り戻せない!’、

‘自律性とは結局なんなのだろうか?’、

‘巨大な母船にあらかじめ乗せられていて、操作されたお産しか選べない中で、どうやってスコットランド人を育てていけるのか?’

そんな声の数々が耳元をかすめていくうちに、私は学生の頃に訪れたアリゾナとニューメキシコに点在する居留区にまるで‘幽閉’されたように住まわせられていると表現するに等しいズーニー族やナヴァホ族といったネイティブアメリカンの人々のことを思い出しました。

広大な国土のごくごく一部をリザベーションと名付け、おそまつなフェンスで囲い、そこに彼らを留め、実質的には居留区以外の土地では通用しにくい‘アメリカ人’を育てる。そこにはアルコールとドラッグが蔓延し、一方で、埋蔵されている希少な地下資源だけはことごとく母船であるアメリカ経済に吸い取られ、さらには採掘にともなう深刻な大気汚染や水質汚染といった環境汚染まで居留区内の人々が引き受けさせられている現実に似たものをスコットランド独立問題の背景にもうっすらと感じました。

次第に、スコットランドの女性たちが、マイノリティーとして不屈の精神で脚を踏ん張っているように私には感じられていったのです。だからこそ、今回の選挙結果にはなんとなく苦いような気持ちが今も私の中に残っています。

それでも、光を感じるようなこともあります。先日、遊びにきてくれたイギリス人ドゥーラの先輩であり、エジンバラに長年住む二コラさんがこんなことを言っていたのです。

「グラスゴーでは独立反対派が街に火を放ったりして恐ろしい光景が広がって、反対派と賛成派の間に大きな溝ができた。でも反面、‘みんなが政治に戻ってきた!’という実感があるの。だって、あんな投票日、私見たことなかった。身障者の人々は車椅子を押されて投票していたし、投票権を得たばかりのような若者も、赤ちゃんを抱いた母親も、おばあさんも杖をついて、みんな、ほんとうにエジンバラ中の人々がぜーんぶ集まったんじゃないかって思えるくらいに投票会場は人で埋め尽くされていたわ。

あぁ、あんなのは人生にそう何回も見られる光景じゃない。自分は今、歴史の一部になっているって感覚があった。みんなもきっとそうだったと思うんだ。そういう意味では、どっちに転んだとしても、人々が政治と‘リコネクション’できたのはよかったと思う。私はYes派だったから結果は残念だけど、次の世代が独立に向けて動いていってくれるはずだし、そのステップのひとつになれたんだから、爪痕を残せただけでも喜ばなきゃね」と。

私は彼女の目線やしぐさも含めて、慎重にえらびとった彼女の物言いから、独立への彼女の深い想いを感じました。

それでもなお、現実の中に光を見ようとする彼女のこころの動きに触れた時、なにかがほどけるような、ジーンと湧き上がってくるものがありました。

「起こることはすべて、きっと必要があって起きている。だから、無駄にはせずにそこから学びたい」

そんなニコラさんのような心の姿勢こそ、きっと新しい命を照らすことでしょう。ロウソクの芯のように、外側の姿は移り変わっても、ずっとどこか奥深い部分に存在し続けて、国の枠を越えて引き継がれていくに違いないと感じたのでした。

へその緒でつながる母と子の絆

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ハワイのオーガニックのコナコーヒーファームでヨーコさんが育てているアボガドは、美しい!味はまさに森のバター。濃厚で、妊婦さんにとって貴重な栄養素がいっぱいです♪

アメリカ合衆国のスーパーで、“ブルーベリー”や“クランベリー”などとジュースのパックに記載されていても、実際には、そのほとんどがリンゴの果汁だということをご存知でしたか。

その理由は、リンゴジュースが最も安価だからだそうです。そして、各メーカーには、果汁の成分について%表示をする義務はありません。これでは私たち消費者は目をくらませられてしまうでしょう。

2011年、アメリカの政府機関FDA(Food and Drug Administratio)は食品偽装に対する特別委員会を設けました。科学者、エコノミスト、法律家をメンバーに集め、偽装に関する啓発、対策の検討を行っているのです。

なかでも、摘発が最も難しいと言われているのが、海産物です。

海産食品の9割以上を海外からの輸入に頼っているアメリカ。昨年は、海洋自然保護のNGO団体、オーシャナ(Oceana)が調査したところ、市場に出回っている魚の3割が正確に表示されていないことが発覚しました。 

特に、レッドスナッパーの偽装は甚だしく、約17匹に1匹の割合でしか正当に表示されていないのが現実といいます。調査によると、残りのほとんどは 甘鯛(Tilefish)やテラピアだったそうですが、水銀などを多く取り込んでいるといわれる甘鯛はFDAによっても、妊婦や子どもが控えるべき有害食品に指定されています。

有害物質が母胎から胎盤へ移行する例を示すデータとしては、911のテロ事件後に国際貿易センター周辺(2マイル;約3.2km圏内)に住む妊婦さんの血液中の水銀値が、海産物も食べていたとはいえ、異常に高くなったそうです(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3046737/)。

巨大ビルの倒壊により、資材として使われていた重金属の破片や溶けた気化物質が大気を通して妊婦さんの体内に取り込まれた可能性が指摘されたのです。 

そこで私が思い出すのは、美しい海に面した町で起きた悲劇、水俣病の経緯です。

汚染された海産食品を経口摂取していた当の母親には水俣病の症状は出なかったにもかかわらず、その母胎を通して有害物を摂取した赤ちゃんたちは、この世に生まれ出たその瞬間からもがき苦しんだと伝えられています(参照『よかたい先生~水俣から世界を見続けた医師 原田正純~』)。

食品、薬、空気、水を含め、妊産婦さんが摂取するものと赤ちゃんとの密接な関係は明らかです。        

へその緒を通してこんなにも深く母子は繋がっているんですね。

ところが、妊娠中、最も気をつけなければならないと言われる時期は、本人も妊娠しているとは気づいていない妊娠のごく初期です。

実際、その時期に胎児の発育のために栄養バランスに富んだ安全な食生活ができている方は、とても少ないと、妊婦さんと接してきて実感しています。

いつ身ごもってもよいように、毎日の食生活を大切にしてほしい。

同時に、水俣病のような悲しい歴史を未来の教科書として、これからの私たちは今、子どもたちに起こっている被害を、地球規模に置き換えて考えていかなくてはならないと感じています。