ドゥーラがいざなうお産のスピリチュアリティー

一日ワークショップ<お産のスピリチュアリティー>では、ドゥーラ仲間の二コラさんのリードで、 さまざまな国籍、職業、立場の女性たちが集まりました。美味しいランチを頂きながらピアグループ として意見交換できたのが本当によかったと思います。お互いがお互いのリソースになれるんですね♪
一日ワークショップ<お産のスピリチュアリティー>では、ドゥーラ仲間の二コラさんのリードで、
さまざまな国籍、職業、立場の女性たちが集まりました。美味しいランチを頂きながらピアグループ
として意見交換できたのが本当によかったと思います。お互いがお互いのリソースになれるんですね♪

今朝は、ちょうど半年前にお産にbirth doulaとして立ち会い、産後はpostnatal doulaとして一ヶ月間ほど通っていたイタリア人家族に会ってきました。ほんの4-5カ月ぶりだというのに、赤ちゃんの成長には目覚ましいものがあります。月齢相応のむっちりとした太ももとふっくらとしたほっぺた。目は大きく見開かれ、絶えずモノの動きを追っています。神々しい新生児期とはまた別のステージに入り、周囲との関わりの中で生きる姿に逞しさを感じます。

お産に立ち会ったためでしょうか、産後に通うからでしょうか。どんなに久しぶりであっても、今までお世話させて頂いたお宅のどの赤ちゃんも不思議なほど愚図らずに長い間気持ちよさそうに私の腕に抱かれてくれます。こちらも、べろべろ舐められても、おっぱいを吐き出されても、まったく気になりません。開業助産師さんも同じかと思いますが、継続して過ごす時間が長い分、「ドゥーラはケアした家族に対して情が深くなる」というのは間違いなく本当のことだと思います。

さて、そんなこんなでドゥーラ業でバタバタしているうちに、もう12月なんてウソでしょう、という感じで、あっという間に年の瀬なんですね。皆さまも最近の時間の流れはあまりに速いと感じませんか。私などは速過ぎてまったく追いつけないという感じです。

こんな時間の過ぎ去り方でこの先もいいのだろうか、、、。来年こそはもう少し味わいながらゆったりとした時間を過ごしたい、などと思わずふと立ち止りたくなる今の季節ならではの心境です。

そしてついに、私が忙しくしているうちに、本当に久しぶりに娘が風邪をひいてしまいました。そういえば前日に「喉がごろごろする」と言っていたっけ。。。あの時に早めに何かできなかっただろうか。。。と苦い気持ちが広がります。熱も出ず学校も休むことなく、結局2日ほどで治ったのですが、いつも元気印の娘なだけに辛そうでした。

レモンを絞ってはちみつドリンク、あつい卵酒(日本酒が無いので白ワインで)、ホメオパシー、足湯、背中のマッサージといろいろ試したけど、どうやら一番効いたのはラーメンだったようです。ラーメン食べたーい!とねだられ時計を見るとまだ16時半。ま、今日は早めの夕食でいいやと、私と息子の分も一緒に3袋の麺をゆでたのに、ほぼ2人分を娘がたいらげました。

マクロファージを増やすと言われる内側がヌルヌルした日本の長ネギは無いけれど、代わりに大味な西洋ネギ(リーク)を3本丸々削ぎ切りにしてごま油でいため、にんにくたっぷりのラー油でからめたものを卵入りのアツアツのスープ&麺の上にてんこ盛りにしました。絶えず日本食に飢えている子供たちは見ていてなんだか哀れになるくらい、それはもう大喜びで飛びついて、あっという間に完食しました。

ラーメンを食べたのを境に、「おや?」と私がびっくりするほど娘の顔色は良くなっていきました。鼻は通り、声にも元気が戻り、もう辛そうではありません。その後、ベッドで本を読み始めた娘はそのまま深い眠りに落ち、翌朝にはケロッとして登校していきました。

美味しいものが何でも手に入る日本での便利な生活では皆さん考えられないかもしれませんが、海外に住んでいると、なんてことない日本の家庭料理はごちそうになります。我が家の場合、日本からスーツケースで運ぶラーメンはとっておきのもので、特別な日のディナー。

で、時には今回のように、とっておきの風邪薬にもなるんですね。食材から常備薬へ、ラーメンの格がまだ一段とあがった木村家の食卓です。大げさな話、あらためてラーメン、というか、にゅうめんでも、かけうどんであっても、汁物の麺類の素晴らしさを思い知りました。

つわりのひどかったある妊婦さんが、実家のお母さんの作るきしめんなら、どんなに具だくさんでもしっかり食べられた、と言っていたのも今なら納得です。もちろん私はそこには、お母様の娘を労わる愛情が最高の‘ダシ’として効いているからだと感じます。

さて、先月は、「お産のスピリチュアリティー」という一日ワークショップを開きました。参加者10名ほどで、数名のかわいい赤ちゃんも特別参加でした。それぞれに想いを惜しげなくシェアして下さったヒプノセラピストやドゥーラ、アロマセラピストや助産師さんたちに心からの感謝です。

皆さんの持ってきて下さった一品がこれまたどれも美味しくて(食べることに集中していたら写真を撮り忘れました!)、お腹が満足した午後は気持ちがさらにほぐれた感じでした。そのおかげか、後半のセッションの最後のほうにはファシリテーターの二コラさんのリードで、母から娘への想いについて想いをめぐらすシーンとなると、自然と涙が溢れてきてしまい、みんなでティッシューの箱を回しあって、私などは鼻をぶんぶんかみまくっていました。

お産関係の方は、皆さんそれぞれに行く路は異なっても、具体的なアプローチは違っても、深く大きな使命感や、時には個人には重荷とも呼べるような責任感を感じていらっしゃると思います。そんな時に、今一度、自分たちが一人ではない、お互いに支えあって存在していることを思い出し、気持ちが緩み、癒されることって、とてつもなく大事だなと痛感しました。

自分を大切にしているか、十分に労わっているか、根っこへの水やりは、毎日ではなくても、時々に立ち止まって、足りているかを確認する必要があると思います。

私は、「お産のスピリチュありティー」のワークショップで、自分自身が満たされて、周囲に支えられて在ることの安定感を体感として感じました。それは、ひとえに、来て下さった受講者の皆さまのおかげです。

大好きな映画、「ガイアシンフォニー」シリーズを撮った龍村仁監督が、正確な言葉は覚えていませんが、完成した映画がそこに在るのではなくて、観客がそれを観るときに瞬時瞬時に成就しつつあるのが僕の目指している作品作りですとおっしゃっていました。都内の上映会の会場でほんの数分間かけてくださったお言葉ですが、その意味が今になって本当によく分かります。

「今日観た映画は明日のあなたの物語になっていくんですよ」、というメッセージに支えられて、来年もさらにいい年にしていけたらと思っています。

2017年も素晴らしいお産がますます増えていきますように!

*写真のワークショップの英文のお知らせも以下合わせて載せておきます。

Developing Spirituality around Birth

WYSWEWOMEN workshop at Rakuda Club
A few years ago Nicola was invited by the Italian doulas summer school to run a day for them with the remit spirituality around birth – it was an incredible day she enjoyed so much that she wanted to hang with birthkeepers talking spirituality more often!

This workshop is suitable for anyone who works with parents around birth – we have had midwives, doulas, breastfeeding counsellors, antenatal teachers and more….we also have a fair amount of parents who attend to broaden the scope of their own practice during this mind-blowing time and also to learn about how other cultures view this wonderful event.

During our time together we will cover…..

How are you developing your spirituality around being a birth keeper?
What are your traditions around birthing?
How to support families developing their understanding of the Divine around birth.
Motherblessings and fatherblessings.
Traditional spiritual understandings of birth and motherhood to improve for better outcome.

We will bless each other as part of this day – onward with our journey as birthkeepers!
Here’s more about Nicola Goodall
http://nicolathebirthkeeper.com/about/

Here’s more about WYSEWOMEN here
http://wysewomentalk.com/wysewomen-workshops/

産クチュアリーの守り人

仕事に行く前に娘が撮ってくれた割ぽう着姿の私です。どこで買えるの?と 麻好きヨーロピアンによく聞かれる100%麻製。KAPPOというお店です~。 http://web.ogiwara.co.jp/shop/e/ekappo/
仕事に行く前に娘が撮ってくれた割ぽう着姿の私です。どこで買えるの?と
麻好きヨーロピアンによく聞かれる100%麻製。KAPPOというお店です~。
http://web.ogiwara.co.jp/shop/e/ekappo/

クリスタル、チベッタンベル、美しい絵の描かれたハガキ。。。私にはお守りとして持ち歩き大切にしているものがたくさんあります。人から見たら、不思議がられるかもしれませんが、自分には仕事をする上で大事なものばかりです。

バースドゥーラの仕事内容は多岐にわたりますが、もしひとことで語るなら、妊婦さん本人が産む力を最大限に引き上げられるように見守り、同時に目に見えないレベルでも継続的なお手伝いをすることです。

ドゥーラになりたてのころは、さまざまなトレーニングで学んだ声がけや効果的だと思われるエンパワメントを中心として、瞑想法やエクササイズなど、よりテクニカルな面を出しつつ、ピアな関係で、対等に女性と向き合っていました。ところが次第に、産みゆく女性を心の底から崇めている自分に気づかされていきました。

実際、お産の周辺にあって、女性は本当に女神としか思えない圧倒的な神々しさを放つものなのです。アメリカのテネシー州で自然出産を見守ってきた伝説のアイナ・メイ・ガスキン女史(彼女の半生を描いたドキュメンタリー映画です。私も日本語訳を付けるお手伝いをしました。http://watch.birthstorymovie.com/)は、現代のお産について語る時、以下のように言います。

If a woman doesn’t look like a Goddess during birth then someone isn’t treating her right. (Ina May Gaskin )「分娩中に女性が女神のように見えなかったら、それは彼女に対する待遇に何か問題がある」

いろいろと考えさせられる言葉だと思いませんか?

お産は、とくに初めて体験する方にとっては想像を超える持久戦なものです。ことに施設分娩では、医療従事者の方々が入れ代わり立ち代わり様子を確認するために入室しますので、場の空気が総入れ替えされ、リフレッシュしていい効果が生まれる時もあれば、逆に集中力が途切れることもあるかもしれません。

そんな時に、同じ人物が継続的にその場の空気感を保っていたとしたら、部屋のムードはずっと安定したものになります。哺乳類が太古の昔から適度に暖かく、適度に湿度があり、ほの暗く静かな出産環境を好んできたことは知られています。それは、風雨を避けられ敵の侵入してこないような安全な環境です。例えば洞窟の中とか、大きな樹木の根元とか。。。野生動物が好んで出産してきた環境を知ることで現代人も学びます。

人間の女性も、安定感、安心感を無意識に求めるものです。医学的にも、赤ちゃんを産む時に母体に緊張感があっては緊張ホルモンで知られるアドレナリンが放出されてしまい、なかなか子宮収縮を起こすオキシトシンを分泌できないことが分かっています。

安心できる環境が必要な妊産婦さんにとって、自分を女神のように愛おしさと敬意をこめて見守り、そばに付き添うバースドゥーラのような存在があることは、心の安定感を築き、その方の可能性を最大限に高める可能性があることを私は経験から実感するようになりました。それは最新のドゥーラ研究の報告をみても明らかです。産後うつの罹患率も減ることがドゥーラ効果の一端として注目されています。

また、仮にお産の進行が期待通りではなく、周囲の医療従事者、パートナー、妊婦さん本人でさえも希望を失いそうな時にあっても、最善を信じて祈り続ける人がお産の場にいることはとても大事なことだと感じます。

どのような状況下にあっても、たとえ瞬間的にパニック状態に陥ってしまったとしても、よりスムーズに最低限のストレスで乗り切るために産婦さんが赤ちゃんのためにできる最高のことは、深呼吸する余裕を持ち、気持ちを落ち着かせることだからです。

それを現場にあってサポートするのがバースドゥーラの役割だとしたら、バースドゥーラ自身はかなりタフでないと心身共にもちません。精神力や体力を高めるなどその人らしい自己鍛錬を続けている人がバースドゥーラには多いというのもうなずけます。事実、ロンドンの仲間の一人、日本人バースドゥーラの三浦順子さんは、毎日をヨーガと瞑想と食養に捧げ、健康で素敵な生き方をしている方です。

私には日々の鍛錬を継続するような強さはないけれど、それでも絶えず穏やかな気持ちでお産というサンクチュアリー(聖域)を守るために、日ごろからたくさんの引き出しをもつ努力はしています。

例えば、何か月先の予定日の方であっても受け持ちの妊婦さんの安産のお祈りは毎日決して欠かしません。なぜなら、それが効果的であると分かっているからです。どの宗教にも私は属しませんが、○○さんのお産が○○さんと赤ちゃんにとって最善で最高のお産となりますように。。。と祈願することは、目の前の木を眺めながらでも、星空を見上げながらでもできます。そして、私から彼女への想いは宇宙エネルギーとなって、彼女のお腹の赤ちゃんに届くことを過去の経験から私は知ったのです。

また、魔法の引き出しのひとつとして、海岸で拾った丸い石や、小さな木の実であっても、自分にとってのパワーストーンだと感じたら大切に扱い、妊婦さんとの間に育まれたあたたかい気持ちを注いで全体を包む込む思いで祈って棚の上に飾ったり、バックの中にしのばせておきます。必要な時にそれらをそっと握りしめると、その感触や音、エネルギーは私に瞬間的に壮大な宇宙の営みを思い起こさせ、自分の中に新しい力が注がれたようにリフレッシュできるのです。そのような私の状態が産婦さんや周囲の方々にも伝わり、良い方向にお産が進む助けになるように感じます。もちろん、産婦さんが望めば、陣痛の合間に実際に石を握ったり、チベッタンベルの音色を聞いてもらうこともよくあります。産前からそういったツールを駆使した個人セッションを行っていますので、聞き慣れた音や感触を確かめることで産婦さんは気持ちを落ち着けやすいものです。

香りや光もとても大事な要素です。先日のお産では、産婦さんが病室に持ち込んだレインボーライト(エッセンシャルオイルと水を入れると加湿器にもなる七色に移り変わる照明器具)を見たイギリス人助産師さんが入室するなり「あ~いい香り、まるで高級スパに来たよう!この部屋は一番居心地のよい空間ね!」と満面の笑顔で産婦さんに話しかけていました。それを聞いた彼女もどこかほっとした表情で、場は一段と和みました。産婦さん自身が選んだラベンダーの香りに包まれ、ほの明るいライトのもとでその後ほどなくして彼女は元気な赤ちゃんを産みました。

香り、光、音、感触、、、どれも目には見えないけれどとても大事な要素です。感触について言えば、私が意識的にお産の日に着るようにしている服は麻製です。麻は、汗などを適度に吸い取ってくれるせいか、長時間のお産の立ち会いでも疲れにくいのです。不思議なことですが、麻は出産にすばらしくふさわしい素材だと肌で感じ、少し調べてみたところ、実は麻は古来よりお産と深い関わりのある繊維なのです。

合原香須美さんの書かれた『近代における出産習俗の変容』には、麻に関する記述で、妊娠5ヶ月くらいで神社へ行き、麻をもらってきて、それを鉢巻のように頭に縛って出産に臨み、生まれた後にはそれを倍の量にして神社に感謝の気持ちを表して納めたというようなことが書かれていました。他にも、手首に麻のひもを巻いてお産にのぞみ、無事に生まれた後はへその緒をそのひもで縛ったことなどを知ると、麻とお産の切っても切れない関係が感じられてなりません。最初に着せる産着に麻の葉の文様を縫い付けることも風習としてあったようですが、麻のようにすくすくと大きくなって下さいという祈りが込められているということです。この麻の葉の文様は、正六角形なのですが、英語では、Hexagon とか、Hexagram(六芒星)と呼ばれます。カメの甲羅、ハチの巣のハニカム構造、土星の気流が描く環など、自然界の法則が目に見えるカタチとなって顕現する貴重な印のようです。

精神性や精神世界についての理解が深いイギリスで学んだ私のようなドゥーラたちが集まると、オフタイムはこういった目に見えないことをめぐる話で盛り上がったり、母乳育児に効くハーブや、おすすめのスピリチュアル音楽や、効果のあったという代替療法やクリスタル選びなどの情報交換会となることも多々あります。アーサー王伝説の残るグラストンベリーにも通っていますが、マザーアース(大地の女神)や女性性を祭る神殿での定期的な集い、ナチュラルバース関連のワークショップや女性性を高めるクラスが各地で連日のようにあり、そこには助産師やドゥーラなども集います。まるで私たちは現代の魔女やシャーマンのようだね、と笑い合うこともありますが、もちろん、イギリスのドゥーラ協会、DOULA UKでは、医師や助産師などの専門家をお呼びして正しいホルモンの仕組みを学んだり、ドゥーラ効果の医学的根拠のおさらいをしたり、世界的な母乳育児推進協会であるラ・レーチェ・リーグのIBCLCよりレクチャーを受けたりと、きちんとした学びも積んでいます。そういう意味で、眼に見えるものと、こころでしか捉えられないものをバランスよく吸収し、経験や足を使って地道に情報を仕入れ、ホリスティックな立場でお産に関わっているドゥーラは、これからの時代にますます求められる存在だと思います。

石ころのお守りをバッグやポケットに入れて、麻の割ぽう着で妊婦さんを支える存在は異色だけれど、でも、自分にしかできない働き方があるといつも感じています。

今回も長文になりましたが、お読みくださり有難うございました。

Recipes for Normal Birth(正常産のレシピ)

この写真が、赤とピンク、2色のフェルトで縫ったハンドメイド‘命の道’です。
この写真が、赤とピンク、2色のフェルトで縫ったハンドメイド‘命の道’です。

少し前に、ここロンドン南西部でSara Wickhamさん(http://www.sarawickham.com/tag/induction/)の勉強会に参加してきました。

Saraさんはイギリスだけでなく世界的に注目されている助産師さんで、単独でデータを収集し徹底的に検証するというそのインディペンデントな姿勢は本当に素晴らしいです。嬉しかったのは、12年くらい前にエジンバラ市内の看護大学で行われた数回の公開講座に出席(看護学生でない私のようなドゥーラも多く出席していました)していた私のことを覚えていて下さったことです。単に日本人は珍しかったのでしょうが、生徒一人一人に目を配る温かさを感じました。

ともかく、先日のロンドンでの勉強会は充実していて、そのタイトル、Recipes for Normal Birthも気軽に学べそうな魅力にあふれています。美味しいご飯のレシピが欲しいように、誰だって正常産のレシピって?と覗いてみたくなりますよね。サラさんにRecipes for Normal Birthを広めることになったきっかけを伺ってみました(文末の英文も参照)。

「世の中には様々なたぐいのお料理本や、‘これは効く!’という処方箋や、指南書などが出まわっていますが、すべての人にぴったり当てはまる一冊なんて存在しません。お産においても同じこと。一律に行うルーチン介入という考え方は、すべての女性にフィットするはずがないのです。これからはルーチンという発想から身を遠ざけ、前向きな気持ちで、より現実的になっていくことが求められているのです。つまり、助産師として、助産学生として、医師として、ドゥーラとして、産前教育者として、そしてその他多くの周産期母子ケアに関わるケアの提供者として、一人一人に考えてみてもらいたいのです。‘一体、何が自分の力でコントロールできる範囲のものであるのか。そして、どうやってもコントロールできないものは一体何なのか?’ということを。たとえ思ったように進まないシナリオに出くわしても、そこで乗り越えていけるだけの基本的材料(basic ingredients)を確認しておきましょう。想定外への対処法や、思わぬ必要性に備えて用意しておきたいリソースの詰まった袋(a kitbag of resource)は、お産に関わるすべての人がそれぞれに持っておきたい大切なレシピです」といった風に、お産の過程とお料理のイメージを重ね合わせています。確かに、Saraさんの仰るポイントは分かります。妊娠中から自分なりのレシピを整えておくことの大切さは、母子ケアに携わるケアギバーばかりではなく、実は妊婦さんにこそ意識してもらいたいなと思います。

妊婦さんの場合には、さまざまなことを冷静に想定しながらも、感覚的なものを総動員して、さまざまなレシピの中から自分のレシピを選ぶ。例えば、住んでいる場所、その時の赤ちゃんの様子、自分の体調や、もともとの体質、環境や周囲のサポートなど、その時の状況から総合的に判断して、‘これが今ある自分の持ち札の中で最善の選択であろう’と思えるものを選び、そこで最も必要なものは何かについて考える。つまり、何が自分の求めるもので、自分にとってそれは本当に必要なことかを見極めていく、といくわけです。

‘レシピ’という言葉がぴったりなほどにいろいろな要素がよくも悪くも盛りだくさんな今のお産。自分なりに真剣に学び、選択していくことが、産後の納得感やその後の充実した子育てにつながっていくとても大事なプロセスだと感じます。そして、シンプル イズ ベスト。お料理の場合も、原材料にこだわったシンプルなものほど美味しいことを忘れてはなりません。

脱線しましたが、Saraさんの勉強会では、赤いフェルトを使って‘命の道’を縫う手芸コーナーなどもあって、美味しいランチとともにとても充実した勉強会でした。お産が進まない時に、トイレにこもって便座に座ったりすることは知られていますが、その際に、アロマオイルを便器の中に数滴垂らすと効果的といった使い方や、分娩中の姿勢といった実用的な知恵や知識もこの日はいろいろと学びましたが、ドゥーラの私があらためて確認した何よりも得難いものは、ドゥーラの役割の根幹をなす‘お産においてただ純粋に寄り添う’ということの意味についてです。

妊産婦さんと一緒に過ごす。椅子に座っているだけでもいい。産婦さんの傍らでチクチク裁縫をしたり、陣痛中に編み物をしているだけでもいい。その存在がどれほどの力となり、実際のお産によいインパクトを与えるかについて、Saraさんはシステマティックに、また明快に説明し、会場のドゥーラたちを何度もハッとさせました。

彼女のオフィシャルサイトには、たくさんの論文が惜しげもなくアップされていて、人工オキシトシンを分娩中に使用する母子への影響について分かりやすくまとめられた論文

( http://www.sarawickham.com/wp-content/uploads/2015/07/05-2015-01-Synthetic-Oxytocin-looking-beyond-the-benefits.pdf )

なども読めます。産むかもしれない方には出来るだけたくさん眼を通しておいて頂きたいと願ってやまないものばかりです。「いくらでもダウンロードして使って下さい」とSaraさんご本人も薦めていらっしゃるので、オフィシャルサイトからこの機会にみなさんも無料でいっぱい学ばれてみてください。

Recipes for Normal Birth by Sara Wickham

I think we need to move away from thinking that routine practices are the answer, and to stay positive by getting realistic about what we – as midwives, student midwives, doctors, doulas, childbirth educators or other birth workers – can and cannot control.  We need to understand the basic ingredients, know how to adapt them when things aren’t going to plan, and have a kitbag of resources to draw upon when something a bit extra is needed.