ドゥーラがいざなうお産のスピリチュアリティー

一日ワークショップ<お産のスピリチュアリティー>では、ドゥーラ仲間の二コラさんのリードで、 さまざまな国籍、職業、立場の女性たちが集まりました。美味しいランチを頂きながらピアグループ として意見交換できたのが本当によかったと思います。お互いがお互いのリソースになれるんですね♪
一日ワークショップ<お産のスピリチュアリティー>では、ドゥーラ仲間の二コラさんのリードで、
さまざまな国籍、職業、立場の女性たちが集まりました。美味しいランチを頂きながらピアグループ
として意見交換できたのが本当によかったと思います。お互いがお互いのリソースになれるんですね♪

今朝は、ちょうど半年前にお産にbirth doulaとして立ち会い、産後はpostnatal doulaとして一ヶ月間ほど通っていたイタリア人家族に会ってきました。ほんの4-5カ月ぶりだというのに、赤ちゃんの成長には目覚ましいものがあります。月齢相応のむっちりとした太ももとふっくらとしたほっぺた。目は大きく見開かれ、絶えずモノの動きを追っています。神々しい新生児期とはまた別のステージに入り、周囲との関わりの中で生きる姿に逞しさを感じます。

お産に立ち会ったためでしょうか、産後に通うからでしょうか。どんなに久しぶりであっても、今までお世話させて頂いたお宅のどの赤ちゃんも不思議なほど愚図らずに長い間気持ちよさそうに私の腕に抱かれてくれます。こちらも、べろべろ舐められても、おっぱいを吐き出されても、まったく気になりません。開業助産師さんも同じかと思いますが、継続して過ごす時間が長い分、「ドゥーラはケアした家族に対して情が深くなる」というのは間違いなく本当のことだと思います。

さて、そんなこんなでドゥーラ業でバタバタしているうちに、もう12月なんてウソでしょう、という感じで、あっという間に年の瀬なんですね。皆さまも最近の時間の流れはあまりに速いと感じませんか。私などは速過ぎてまったく追いつけないという感じです。

こんな時間の過ぎ去り方でこの先もいいのだろうか、、、。来年こそはもう少し味わいながらゆったりとした時間を過ごしたい、などと思わずふと立ち止りたくなる今の季節ならではの心境です。

そしてついに、私が忙しくしているうちに、本当に久しぶりに娘が風邪をひいてしまいました。そういえば前日に「喉がごろごろする」と言っていたっけ。。。あの時に早めに何かできなかっただろうか。。。と苦い気持ちが広がります。熱も出ず学校も休むことなく、結局2日ほどで治ったのですが、いつも元気印の娘なだけに辛そうでした。

レモンを絞ってはちみつドリンク、あつい卵酒(日本酒が無いので白ワインで)、ホメオパシー、足湯、背中のマッサージといろいろ試したけど、どうやら一番効いたのはラーメンだったようです。ラーメン食べたーい!とねだられ時計を見るとまだ16時半。ま、今日は早めの夕食でいいやと、私と息子の分も一緒に3袋の麺をゆでたのに、ほぼ2人分を娘がたいらげました。

マクロファージを増やすと言われる内側がヌルヌルした日本の長ネギは無いけれど、代わりに大味な西洋ネギ(リーク)を3本丸々削ぎ切りにしてごま油でいため、にんにくたっぷりのラー油でからめたものを卵入りのアツアツのスープ&麺の上にてんこ盛りにしました。絶えず日本食に飢えている子供たちは見ていてなんだか哀れになるくらい、それはもう大喜びで飛びついて、あっという間に完食しました。

ラーメンを食べたのを境に、「おや?」と私がびっくりするほど娘の顔色は良くなっていきました。鼻は通り、声にも元気が戻り、もう辛そうではありません。その後、ベッドで本を読み始めた娘はそのまま深い眠りに落ち、翌朝にはケロッとして登校していきました。

美味しいものが何でも手に入る日本での便利な生活では皆さん考えられないかもしれませんが、海外に住んでいると、なんてことない日本の家庭料理はごちそうになります。我が家の場合、日本からスーツケースで運ぶラーメンはとっておきのもので、特別な日のディナー。

で、時には今回のように、とっておきの風邪薬にもなるんですね。食材から常備薬へ、ラーメンの格がまだ一段とあがった木村家の食卓です。大げさな話、あらためてラーメン、というか、にゅうめんでも、かけうどんであっても、汁物の麺類の素晴らしさを思い知りました。

つわりのひどかったある妊婦さんが、実家のお母さんの作るきしめんなら、どんなに具だくさんでもしっかり食べられた、と言っていたのも今なら納得です。もちろん私はそこには、お母様の娘を労わる愛情が最高の‘ダシ’として効いているからだと感じます。

さて、先月は、「お産のスピリチュアリティー」という一日ワークショップを開きました。参加者10名ほどで、数名のかわいい赤ちゃんも特別参加でした。それぞれに想いを惜しげなくシェアして下さったヒプノセラピストやドゥーラ、アロマセラピストや助産師さんたちに心からの感謝です。

皆さんの持ってきて下さった一品がこれまたどれも美味しくて(食べることに集中していたら写真を撮り忘れました!)、お腹が満足した午後は気持ちがさらにほぐれた感じでした。そのおかげか、後半のセッションの最後のほうにはファシリテーターの二コラさんのリードで、母から娘への想いについて想いをめぐらすシーンとなると、自然と涙が溢れてきてしまい、みんなでティッシューの箱を回しあって、私などは鼻をぶんぶんかみまくっていました。

お産関係の方は、皆さんそれぞれに行く路は異なっても、具体的なアプローチは違っても、深く大きな使命感や、時には個人には重荷とも呼べるような責任感を感じていらっしゃると思います。そんな時に、今一度、自分たちが一人ではない、お互いに支えあって存在していることを思い出し、気持ちが緩み、癒されることって、とてつもなく大事だなと痛感しました。

自分を大切にしているか、十分に労わっているか、根っこへの水やりは、毎日ではなくても、時々に立ち止まって、足りているかを確認する必要があると思います。

私は、「お産のスピリチュありティー」のワークショップで、自分自身が満たされて、周囲に支えられて在ることの安定感を体感として感じました。それは、ひとえに、来て下さった受講者の皆さまのおかげです。

大好きな映画、「ガイアシンフォニー」シリーズを撮った龍村仁監督が、正確な言葉は覚えていませんが、完成した映画がそこに在るのではなくて、観客がそれを観るときに瞬時瞬時に成就しつつあるのが僕の目指している作品作りですとおっしゃっていました。都内の上映会の会場でほんの数分間かけてくださったお言葉ですが、その意味が今になって本当によく分かります。

「今日観た映画は明日のあなたの物語になっていくんですよ」、というメッセージに支えられて、来年もさらにいい年にしていけたらと思っています。

2017年も素晴らしいお産がますます増えていきますように!

*写真のワークショップの英文のお知らせも以下合わせて載せておきます。

Developing Spirituality around Birth

WYSWEWOMEN workshop at Rakuda Club
A few years ago Nicola was invited by the Italian doulas summer school to run a day for them with the remit spirituality around birth – it was an incredible day she enjoyed so much that she wanted to hang with birthkeepers talking spirituality more often!

This workshop is suitable for anyone who works with parents around birth – we have had midwives, doulas, breastfeeding counsellors, antenatal teachers and more….we also have a fair amount of parents who attend to broaden the scope of their own practice during this mind-blowing time and also to learn about how other cultures view this wonderful event.

During our time together we will cover…..

How are you developing your spirituality around being a birth keeper?
What are your traditions around birthing?
How to support families developing their understanding of the Divine around birth.
Motherblessings and fatherblessings.
Traditional spiritual understandings of birth and motherhood to improve for better outcome.

We will bless each other as part of this day – onward with our journey as birthkeepers!
Here’s more about Nicola Goodall
http://nicolathebirthkeeper.com/about/

Here’s more about WYSEWOMEN here
http://wysewomentalk.com/wysewomen-workshops/

潜在助産師とバースドゥーラの出会い

ピンクのシャツを着て私と手を繋いでいるのが西川直子さん、 直子さんお疲れさま―!とロンドンのお産関係の皆さんと記念撮影しました
ピンクのシャツを着て私と手を繋いでいるのが西川直子さん、直子さんお疲れさま―!とロンドンのお産関係の皆さんと記念撮影しました

潜在助産師という言葉を皆さんは聞いたことがあるでしょうか。私の中で「潜在助産師」といえば、助産師の国家資格を得て最初の数年間は施設勤務をしたけれど、結婚や出産を機に一時的に職場を離れ、その後、助産師として職場復帰しないというようなイメージが浮かびます。現在の日本には潜在助産師と呼ばれる状況の方は7万人ほどいらっしゃるそうです。私が数年間「ペリネイタルケア」(メディカ出版)に「ドゥーラからの国際便」というタイトルで連載させて頂いていた時にも、そのことがいつも頭の隅で気になっていて、コラムにも書いたことがあります。
10年ほど前、まだ日本に住んでいた頃に、「子どもを産むまではバリバリ実家の近くの総合病院で働いていたけど、あれから時間が空いてしまったし、子育てでも今の自分にはぜんぜん納得がいってないし、助産師として病院で働いていたなんて恥ずかしくてとても言えない」と、潜在助産師のお友達がこぼしていました。「周囲には絶対に言わない」と決めていらっしゃる様子が痛々しかったことを覚えています。もちろん私は「えー、言ってもいいじゃない!」と思いましたが、それがその時の彼女の在り様なのだから、彼女の‘ありのまま’を想い、信じることにしました。その後、彼女は助産師としてではなく、別の仕事に就いていますが、キラキラと輝き、働くママとして素敵な人生を生きています。

それにしても、子育て、転職、海外転勤、と人生にはいろいろあるもの。さまざまな事情はあると思いますが、せっかく助産師になったのであれば、そのスキルを眠らせておかずに、助産師パワーにあふれた生活を送ってもらいたいなと、助産師さんの一番の味方を自負する一人のドゥーラとしては願ってやみません。

そんな中、私が参加させて頂いているコミュニティーのひとつ(「お鍋の会」というお産関係のメーリングリスト)に、一年ほど前、ロンドンに到着したばかりという助産師さんからの書き込みがありました。世話焼きオバちゃんの私はすぐに、ようこそロンドンへ!と返信しました。そしてなんとその日のうちに娘の通う学校で待ち合わせることになったのです。そうやって急発展で助産師の西川直子さんとの交流が始まりました。

我が家を開放して開いている「らくだの会」には、コミュニティーミッドワイフ(ホームバースをメインに活動する助産師)の小澤淳子さんと一緒に西川直子さんには何度も足を運んで頂きました。一緒に時を重ねるうちに、お産に対する直子さんの熱い想いがひしひしと伝わってきました。今は現場にいないけれど、助産師として役に立ちたい、海外に住むことになった自分に何かできることはないのか?そんな思いを胸の奥に秘めながら、慣れない土地で幼い子どもたちを育てる直子さんのひたむきな気持ちが、すでに地元で助産師として働きながらネットワークを築いていたロンドン在住日本人助産師のみなさんを刺激したのでしょうか。ロンドンの助産師相談会の話があれよあれよという間に一気に軌道に乗ったようです。お互い見知らぬ者同士がほとんどだった最初の頃は、顔合わせの場として我が家を提供させて頂いていましたが、そのうちにメンバーが増え、距離の関係で直子さんのお宅へと移り、さらにはロンドンのイーリング市内のとある施設の一室へと移りました。

今では、毎週そこで長年開かれているベイビー&トドラーグループJ-Home byECCJ日本語教会(※)の集まりに、第一木曜日(10時)だけ、日本人助産師さん(ローテーションで担当)が母子相談にのるというボランティア活動が定着しました。場所は教会ですが、クリスチャンでなければ参加できないといったことは一切ないそうです。

直子さんは、病院勤務の現役助産師さんなどと比べ時間に余裕のある分、「忙しいみんなの代わりに何でもできることをします!」という姿勢でいつも協力して下さっていました。何かイベントを開くたびに、参加者の名簿や、各回の議題などをささっとまとめ、毎回またたく間に全員に配信してくれましたので、「らくだの会」も、直子さんのおかげでとても助かっていました。

その彼女が、再び、ご主人の転勤に伴いスペインへお引越しとなってしまったのです。いつもは旅立つ側の私が、めずらしく送り出す番です。涙をこらえ、彼女の助産師としてのパッションを称えながら、そして素敵なご縁に感謝しながら、「いってらっしゃーい!」と見送りました(つい先日、スペインへと旅立っていかれました)。
一人の潜在助産師さんが去った後、ここには眼に見えない絆、横のネットワークが置き土産として残されました。先述のイーリングの助産師相談会は、それぞれに想いをあたためていた助産師さん方は既に存在していたにせよ、直子さんのあの目覚ましい起動力がなければ今も最初の一歩を踏み出せていなかったと想像します。
つくづく、ひとりの力は大きいなぁと思います。たった一人では何もできない、ではなく、たった一人でもこんなにたくさんのことができるんだと痛感します。みんなが笑顔で子育てできるには一歩ずつ何をしていこうか、と真剣に考えている直子さんのような助産師さん。実はきっと、世界中にたくさんいらっしゃると思います。
直子さんは、「継続ケアの臨床経験は数年間しかありません」と公言されていました。でも私は、そんなことは気にしないでほしいと思います。助産師として臨床経験が多くても、中には、充足感を感じにくい職場状況で無理に働かざるを得ないままきているという方もいるでしょう。たとえ短い臨床経験であっても、多くの学びを得ながら豊かに自己研鑽し続けている助産師さんも多数おられることでしょう。
「助産師ですけど臨床経験少ないです。自分の子育ても自信ありません。でもお産が大好きです!赤ちゃんも大好きです!」と笑顔で体当たりしていく直子さん。そんな解放感あふれる彼女のもとに、たくさんの人たちが集まり、交流を深めることができました。‘くまなこさん’として、ブログも書かれていますhttp://ameblo.jp/jyosanshikuma/)。

世界中の潜在助産師さん!お産を扱っていなくても、職場復帰していなくても、まず、「私には助産師資格があります」と周囲に表明してみてくださいませ。そこから始まっていく新しい関係がきっとあると思います。

今回の私たちのように、(潜在)助産師が、住まう地域で、現役助産師、ドゥーラ、ヨーガインストラクター、臨床心理士、ヴェジタリアンの寿司職人、ヒプノバースのセラピストなどと繋がって、ローカルにお産シーンを盛り上げていくというのは、産みゆく女性とその赤ちゃんのこころの健康にとって常に大きな可能性を秘めていると思います。

他にも、自然食材の生産者、絵本作家、手作りのオモチャや手芸を作るアーティスト、美しい音色を聴かせるミュージシャンなど、その土地で活躍する他業種・異業種の横のつながりを大切にすることは、『いいお産の日』のイベントの盛況ぶりをみても分かる通り、女性が、母子が地域とつながるきっかけとなります。助産師がイベントの中核に携わっているけれど、助産師だけでは広げにくいダイナミクスと奥行きの幅をその活動にもたらすものです。だからこそ、ひとりひとりの小さな働きは、全体でみると、本当に大きいものなのですね。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という言葉があるけれど、一人ずつがささやかな力を持ち寄って生き生きと動く時、まるでパズルがはまったように、新しい絵が見える瞬間がやってくる、そんな気がしてきます。

※ベイビー&トドラーグループJ-Home byECCJ日本語教会
268 Northfield Avenue,
Ealing, London W5 4UB United Kingdom

Facebookページ、そして、J-HomeのFacebookページは以下を参照ください。

ECCJ日本語教会 FB Page:
www.facebook.com/ECCJ.Japanese.Church.in.London
J-Home FB Page:
www.facebook.com/ECCJ.BabyToddlerGroupForLondonJapaneseMum.JHome

産クチュアリーの守り人

仕事に行く前に娘が撮ってくれた割ぽう着姿の私です。どこで買えるの?と 麻好きヨーロピアンによく聞かれる100%麻製。KAPPOというお店です~。 http://web.ogiwara.co.jp/shop/e/ekappo/
仕事に行く前に娘が撮ってくれた割ぽう着姿の私です。どこで買えるの?と
麻好きヨーロピアンによく聞かれる100%麻製。KAPPOというお店です~。
http://web.ogiwara.co.jp/shop/e/ekappo/

クリスタル、チベッタンベル、美しい絵の描かれたハガキ。。。私にはお守りとして持ち歩き大切にしているものがたくさんあります。人から見たら、不思議がられるかもしれませんが、自分には仕事をする上で大事なものばかりです。

バースドゥーラの仕事内容は多岐にわたりますが、もしひとことで語るなら、妊婦さん本人が産む力を最大限に引き上げられるように見守り、同時に目に見えないレベルでも継続的なお手伝いをすることです。

ドゥーラになりたてのころは、さまざまなトレーニングで学んだ声がけや効果的だと思われるエンパワメントを中心として、瞑想法やエクササイズなど、よりテクニカルな面を出しつつ、ピアな関係で、対等に女性と向き合っていました。ところが次第に、産みゆく女性を心の底から崇めている自分に気づかされていきました。

実際、お産の周辺にあって、女性は本当に女神としか思えない圧倒的な神々しさを放つものなのです。アメリカのテネシー州で自然出産を見守ってきた伝説のアイナ・メイ・ガスキン女史(彼女の半生を描いたドキュメンタリー映画です。私も日本語訳を付けるお手伝いをしました。http://watch.birthstorymovie.com/)は、現代のお産について語る時、以下のように言います。

If a woman doesn’t look like a Goddess during birth then someone isn’t treating her right. (Ina May Gaskin )「分娩中に女性が女神のように見えなかったら、それは彼女に対する待遇に何か問題がある」

いろいろと考えさせられる言葉だと思いませんか?

お産は、とくに初めて体験する方にとっては想像を超える持久戦なものです。ことに施設分娩では、医療従事者の方々が入れ代わり立ち代わり様子を確認するために入室しますので、場の空気が総入れ替えされ、リフレッシュしていい効果が生まれる時もあれば、逆に集中力が途切れることもあるかもしれません。

そんな時に、同じ人物が継続的にその場の空気感を保っていたとしたら、部屋のムードはずっと安定したものになります。哺乳類が太古の昔から適度に暖かく、適度に湿度があり、ほの暗く静かな出産環境を好んできたことは知られています。それは、風雨を避けられ敵の侵入してこないような安全な環境です。例えば洞窟の中とか、大きな樹木の根元とか。。。野生動物が好んで出産してきた環境を知ることで現代人も学びます。

人間の女性も、安定感、安心感を無意識に求めるものです。医学的にも、赤ちゃんを産む時に母体に緊張感があっては緊張ホルモンで知られるアドレナリンが放出されてしまい、なかなか子宮収縮を起こすオキシトシンを分泌できないことが分かっています。

安心できる環境が必要な妊産婦さんにとって、自分を女神のように愛おしさと敬意をこめて見守り、そばに付き添うバースドゥーラのような存在があることは、心の安定感を築き、その方の可能性を最大限に高める可能性があることを私は経験から実感するようになりました。それは最新のドゥーラ研究の報告をみても明らかです。産後うつの罹患率も減ることがドゥーラ効果の一端として注目されています。

また、仮にお産の進行が期待通りではなく、周囲の医療従事者、パートナー、妊婦さん本人でさえも希望を失いそうな時にあっても、最善を信じて祈り続ける人がお産の場にいることはとても大事なことだと感じます。

どのような状況下にあっても、たとえ瞬間的にパニック状態に陥ってしまったとしても、よりスムーズに最低限のストレスで乗り切るために産婦さんが赤ちゃんのためにできる最高のことは、深呼吸する余裕を持ち、気持ちを落ち着かせることだからです。

それを現場にあってサポートするのがバースドゥーラの役割だとしたら、バースドゥーラ自身はかなりタフでないと心身共にもちません。精神力や体力を高めるなどその人らしい自己鍛錬を続けている人がバースドゥーラには多いというのもうなずけます。事実、ロンドンの仲間の一人、日本人バースドゥーラの三浦順子さんは、毎日をヨーガと瞑想と食養に捧げ、健康で素敵な生き方をしている方です。

私には日々の鍛錬を継続するような強さはないけれど、それでも絶えず穏やかな気持ちでお産というサンクチュアリー(聖域)を守るために、日ごろからたくさんの引き出しをもつ努力はしています。

例えば、何か月先の予定日の方であっても受け持ちの妊婦さんの安産のお祈りは毎日決して欠かしません。なぜなら、それが効果的であると分かっているからです。どの宗教にも私は属しませんが、○○さんのお産が○○さんと赤ちゃんにとって最善で最高のお産となりますように。。。と祈願することは、目の前の木を眺めながらでも、星空を見上げながらでもできます。そして、私から彼女への想いは宇宙エネルギーとなって、彼女のお腹の赤ちゃんに届くことを過去の経験から私は知ったのです。

また、魔法の引き出しのひとつとして、海岸で拾った丸い石や、小さな木の実であっても、自分にとってのパワーストーンだと感じたら大切に扱い、妊婦さんとの間に育まれたあたたかい気持ちを注いで全体を包む込む思いで祈って棚の上に飾ったり、バックの中にしのばせておきます。必要な時にそれらをそっと握りしめると、その感触や音、エネルギーは私に瞬間的に壮大な宇宙の営みを思い起こさせ、自分の中に新しい力が注がれたようにリフレッシュできるのです。そのような私の状態が産婦さんや周囲の方々にも伝わり、良い方向にお産が進む助けになるように感じます。もちろん、産婦さんが望めば、陣痛の合間に実際に石を握ったり、チベッタンベルの音色を聞いてもらうこともよくあります。産前からそういったツールを駆使した個人セッションを行っていますので、聞き慣れた音や感触を確かめることで産婦さんは気持ちを落ち着けやすいものです。

香りや光もとても大事な要素です。先日のお産では、産婦さんが病室に持ち込んだレインボーライト(エッセンシャルオイルと水を入れると加湿器にもなる七色に移り変わる照明器具)を見たイギリス人助産師さんが入室するなり「あ~いい香り、まるで高級スパに来たよう!この部屋は一番居心地のよい空間ね!」と満面の笑顔で産婦さんに話しかけていました。それを聞いた彼女もどこかほっとした表情で、場は一段と和みました。産婦さん自身が選んだラベンダーの香りに包まれ、ほの明るいライトのもとでその後ほどなくして彼女は元気な赤ちゃんを産みました。

香り、光、音、感触、、、どれも目には見えないけれどとても大事な要素です。感触について言えば、私が意識的にお産の日に着るようにしている服は麻製です。麻は、汗などを適度に吸い取ってくれるせいか、長時間のお産の立ち会いでも疲れにくいのです。不思議なことですが、麻は出産にすばらしくふさわしい素材だと肌で感じ、少し調べてみたところ、実は麻は古来よりお産と深い関わりのある繊維なのです。

合原香須美さんの書かれた『近代における出産習俗の変容』には、麻に関する記述で、妊娠5ヶ月くらいで神社へ行き、麻をもらってきて、それを鉢巻のように頭に縛って出産に臨み、生まれた後にはそれを倍の量にして神社に感謝の気持ちを表して納めたというようなことが書かれていました。他にも、手首に麻のひもを巻いてお産にのぞみ、無事に生まれた後はへその緒をそのひもで縛ったことなどを知ると、麻とお産の切っても切れない関係が感じられてなりません。最初に着せる産着に麻の葉の文様を縫い付けることも風習としてあったようですが、麻のようにすくすくと大きくなって下さいという祈りが込められているということです。この麻の葉の文様は、正六角形なのですが、英語では、Hexagon とか、Hexagram(六芒星)と呼ばれます。カメの甲羅、ハチの巣のハニカム構造、土星の気流が描く環など、自然界の法則が目に見えるカタチとなって顕現する貴重な印のようです。

精神性や精神世界についての理解が深いイギリスで学んだ私のようなドゥーラたちが集まると、オフタイムはこういった目に見えないことをめぐる話で盛り上がったり、母乳育児に効くハーブや、おすすめのスピリチュアル音楽や、効果のあったという代替療法やクリスタル選びなどの情報交換会となることも多々あります。アーサー王伝説の残るグラストンベリーにも通っていますが、マザーアース(大地の女神)や女性性を祭る神殿での定期的な集い、ナチュラルバース関連のワークショップや女性性を高めるクラスが各地で連日のようにあり、そこには助産師やドゥーラなども集います。まるで私たちは現代の魔女やシャーマンのようだね、と笑い合うこともありますが、もちろん、イギリスのドゥーラ協会、DOULA UKでは、医師や助産師などの専門家をお呼びして正しいホルモンの仕組みを学んだり、ドゥーラ効果の医学的根拠のおさらいをしたり、世界的な母乳育児推進協会であるラ・レーチェ・リーグのIBCLCよりレクチャーを受けたりと、きちんとした学びも積んでいます。そういう意味で、眼に見えるものと、こころでしか捉えられないものをバランスよく吸収し、経験や足を使って地道に情報を仕入れ、ホリスティックな立場でお産に関わっているドゥーラは、これからの時代にますます求められる存在だと思います。

石ころのお守りをバッグやポケットに入れて、麻の割ぽう着で妊婦さんを支える存在は異色だけれど、でも、自分にしかできない働き方があるといつも感じています。

今回も長文になりましたが、お読みくださり有難うございました。