第22回 卒論いきなり終わってるし

恐ろしいくらい時間がなくて、ずーっとブログを更新できないままに今日まで来てしまった・・・。

どんだけ開けるんかい。

髪の毛をショートカットにして洗髪時間を時短しても、

ありとあらゆる工夫をしても、

それでも時間が全然足りなかった〜!


そして、極度のストレスにより。。。うなじから顔面にかけて一面に水膨れのような帯状疱疹ができて、もう痒くて痒くて毎日泣きながら勉強した。

エジンバラ市内の鍼灸クリニックで処方してもらった煮出した漢方を飲みながら這うようにして通学した。

そんな中、論文のテーマは、

‘近代化による出産の医療化が生まれてくる赤ちゃんと産む女性にどのような影響を与えているのか’。

かたっ。

このかた〜い勉強をする過程は、今3歳の娘との親子の関係を育むことと同時進行だったのだから、もう手一杯で仕方がなかった。

でも、まあ振り返ってみれば相互に大きな影響を与え合ったようだ。

ロザリン・チャペル

週末によくピクニックに行くロザリン・チャペル。

ダヴィンチ・コードで一躍有名になりましたね!

ようやく卒論が終わったんだが。。。

どこまでまともな学位論文として仕上がったかは別として、

伝えたいメッセージだけはなんとか表現できたかなぁって感じです。

今回の論文のテーマは、冒頭にも書いた通り、

‘近代化による出産の医療化が生まれてくる赤ちゃんと産む女性にどのような影響を与えているのか’ について。

ミシェル・オダンのプライマル・ヘルスをバイブルとし、ドゥーラの資格を持つ者としては、出産とはまさに、産む女性にとっても、見守る側にとってもスピリチュアルな体験なので、そこをしっかり伝えていきたいと思って書いていた。

お産のサポート、大切なのは何?

お産においてもっとも大切なサポートのひとつは、産む本人が自分らしくいられる時空間を創る手助けをする、まわりの母性的な在りかたである。

そのような考えを裏づけるような論文が、助産学の進んでいるここUKには山ほどある。

ちょっとやそっとでは到底学びきれない、どこまでも深淵なお産の医療人類学であるが、この地で今回集中的に学べてほんとうにラッキーだった。

結果が出るのはまだ当分先のことになるが、とりあえず

終わった〜!!!!!!

おっぱいの香りがそそる?

気づくとこの一年(イギリスの修士課程は1年間)で、娘もあと半年で4歳になる。

時間のたつのはなんて早いものと思う。

気になるおっぱいは。。。

そろそろ卒業‘気味’だが、卒乳するにはまだほど遠い。

「もうご飯がいっぱい食べられるようになったから、おっぱい飲まなくても大丈夫じゃない?」と私が言うと、


「でも、お母さんのそばにいくと、おっぱいのいい匂いがするから飲みたくなっちゃうの。匂いがなくなればいいんじゃない?」

と私を見返す。

うう~ん唸ってしまう。

3歳半ともなると相手もかなり手ごわい。

おっぱいの香りがそそっているせいだって?

おっぱい、もうほとんど出ていないはずなんだけどなぁ。。。

ありがたかった、娘の伴走

ツタに覆われた家

ツタに覆われた家ってステキだなぁといつもうっとり。虫が入ってきて大変よ、そう友人は言いますが

でも、おっぱいの香りがそそる〜というのは、

しょうがないと思っている。

だって、私が大学院にいる間、娘はおちこぼれママと息をしっかり合わせてほんとうによく伴走してくれたので、おっぱいくらい好きなだけ飲ませてあげたいんだ。

大学図書館でお絵かきをしながら待っていてくれたり、提出が間に合わないのではとヒヤヒヤする私に、「おかあさん、勉強だいじょうぶだからね!」と来る日も来る日も励ましてくれた。

お天とう様が一日ほんの数時間しか照ることのないエジンバラの真冬にその声がけがどれほどありがたかったことか。

正直、入学時には、娘にここまで支えてもらうことになろうとは、夢にも思っていなかった。

子どもの‘こころの本能’の芽生え

娘の言葉や労わりの態度は、彼女がまだ‘ちいさい人’な分、痛いほどわたしのこころに沁みこんで、今はそこから新たな親子関係が芽生えつつある。

「おかあさんだいじょうぶだよ」

そんな風に、親に伝えたくなったり、隣りにいる人を励ましたい、という子どもの‘こころの本能’の芽生えに触れ、なんだか大発見しちゃった気分である。

このびっくり感覚こそが親子関係の転換期なのだろう。

親として一方的に世話を焼くばかりの時代から。。。

お互いに支えあえる新しいステージへと、今、刻々と突入しつつあるということでもある。

親って、大人って、いったい何?

昔の自転車

エジンバラ・フェスティバルの一環でパレードが。

バグパイプの楽団より、娘は昔の自転車に夢中!

このような日々の‘大発見’は、お産のような一大スペクタクルではなくても、今の私にとってお産と同じくらいにダイナミックな出来事だ。

育児は3年でひと区切りとは言うけれど、なるほど、こういうことだったのかー!と思う。

肩の力もいい具合に抜けてきている感じ。

でもって、人として、まわりを励ましたい、支えたい気持ちって、なにが起源で、どこからこんな風に自然にあふれんばかりにわきあがってくるのだろう?

親って、大人って、いったいなんなのだろう。。。?

どの子もひとりひとり、みんな神さまからのメッセンジャーで、自分自身で生まれてくる家庭や親を選んできてくれた。

このごろ今までに増してそう思う。

やっぱり大人は子どもたちが送るメッセージにひとつひとつ気づき、学ばせて頂くだけなのかも。

→続く

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お読み下さりありがとうございました。

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第21回 クラスメートの妊娠

アイルランドの大自然!

〈休暇でアイスランドにやってきた首都レイキャビクからほんの20分車で走るともう大自然!〉→

大学院のクラスでは、全員が全員、20代前半である。

青年も皆いい子たちばかりだ。

母であり妻であり学生である私のことを、それぞれに理解(同情?)してくれているよう。

娘をとっても可愛がってくれるし、

ナーサリーが休日で娘をあずけられず、私がどうしても家にいなければならない時は、

みんな我が家に集まってパワーポイントでの資料づくりをしたり。

親子ともども風邪で倒れた週にはノートを届けてくれたり。

各国のクラスメート、と〜っても親切だ。

なかでも、アメリカ人のアレクサとは特別に通じ合うものがある。

というのも23歳になる彼女は、大学院に入学したと同時に妊娠したのだ。

今でもハッキリ覚えている。

最初のクラスの後、たまたま帰りが一緒になった私達がお互いのプライベートに触れた時のこと。

私が子持ちと知った彼女は、一瞬安堵の表情を浮かべ、

「私も来年おかあさんになるの」と言った。

天然温泉

アイスランドの間欠泉、凄い迫力!

後期に入って、アレクサは、学業の負担を半分に減らすため、フルタイム学生からパートタイム学生に切り替えた。

それによって彼女と顔を会わす機会は週2回から1回に減った。

ご主人はイギリス人の外科医。

彼もとっても好青年だ。

本人も健康そうだし、ヨーガに通ったりしながら妊娠中の体力づくりにもしっかり励んでいて、一見なんにも問題はなさそうなのだが、彼女は毎週の授業で私を見つけるたびに「ちゃんと産めるかしら?」と聞いてくる。

そのたびに私は、おまじないのようにアレクサのやわらかいお腹にそっと触らせてもらいながら

「だいじょうぶだからね、おかあさんちょっと心配しているみたいだけど、一番いいカタチでやってきてね」と声をかける。

そうやって毎週毎週、アレクサに、そしてアレクサのお腹に、

そして、

実は誰でもない私自身に

「だいじょうぶだよ~」を何度となく言い聞かせてきた。

男子学生たちにも影響が

そのうちに、見えない変化がクラスにもあらわれてきた。

それまではまだ若いせいかアレクサの存在にまったく無関心だった男子学生たちが「アレクサのお腹だいじょうぶそう?」と私にたずねてきたり、アレクサに「お腹に手をおいてもいい?」と聞くようになった。

しまいには、国際保健に関する授業でのグループワークのテーマに‘アフリカにおける自宅出産について’を選ぶまでになった。

男子学生も、身の回りに妊婦さんがいると、自然とお産に興味が出てくるのだろうか。

生まれた!

みんなとってもいい笑顔

アイスランドの幼稚園見学しました!

そうして、つい2日前、朝起きてパソコンを開けると。。。

「おかげさまで今日大きな女の子が生まれました!」

という喜びのメールがアレクサのご主人から届いていた。

「やったー!」

私はひとり叫んでしまった。

またひとつ新しい命がこの世に生まれた。

さっそく他のクラスメートたちにも連絡をすると、そのうちの一人から、

「アレクサの大きなお腹に触れたことで、大学院で学ぶことが机上の空論に終わらず、つねに現実感を与えてくれてきた気がする」というようなメッセージが返ってきた。

社会に戻すための、学問

幼稚園

アイスランドの幼稚園のセンスのよさにびっくり!

ほんとうに、このアメリカ人男子学生の言うとおりだと思う。

いくらすごいことを勉強しても、

難しいことが解っても、

それが日々の日常にいかせなくては、意味がない。

というか、もったいない!!!

せっかく学ぶ機会を与えられているのだから、社会に戻すことをイメージしてこれからも学生を続けていこう。

そんな勇気をあらためて感じさせてくれたアレクサに、こころから‘ありがとう’と伝えたい。

そして彼女が大学に復帰した暁には、彼女の押すベビーカーの横で、私は娘を遊ばせながら本を探していたいもんだなぁと思ったのだった。

次号に続く→

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お読み下さりありがとうございました。

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第18回 今やるよ!人生無駄なし

エジンバラから少し遠出して、週末旅行に行ってきた。

スコットランドの世界遺産ニューラナークだ。

いろいろな意味で悪名も高かった産業革命で、人々の生活が一律に管理されていく中で、この村だけは人々の健康を守り、就労時間以外はレクリエーションも豊富に提供されていた。

病人も他の産業都市よりずっと少なく、次第にニューラナークは産業革命時代のロールモデルとなっていった伝説の村だ。

今では、昔ながらの遊びが体験できるエドゥケーショナルな博物館となっている。


写真は、鉄の輪が倒れないようにバランスをとりながら、鉄の棒で輪を手前に転がしていく遊びだ。

かなりのスピードで走り続けないと、輪がすぐパタンとなってしまう。とても難しくて、私は一度も成功せず。。。

すぐに諦めてしまったよ(涙)。

昔から、難しいことは苦手で、努力するのも嫌いだった。

そんなあの頃の自分を振り返ってみると、中学までは学級委員をするようなタイプだったんだよね。

それが、高校に入って一気にデビュー。

授業なんてそっちのけでいくつものクラブ活動をかけもちしながら文化祭に、体育祭に没頭し。。。

そのうちに成績も下降線を辿り、ついに高校3年の進路指導では、第一志望校を先生に伝えるなり『悪いことは言わないから考え直しなさい』と諭されるまでになっていた。

私は外国の人々の生活や宇宙観、死生観などに興味があったので、そのようなことを勉強できる学科を受験するつもりだったのが、心ない担任のひとことに一時は『そうか、自分の力では無理なんだ。。。』と思った。

ところが、導入されたばかりの小論文の一芸入試制度のおかげで、奇跡的にも第一希望校の学部学科に拾ってもらうことができた。

この写真もニューラナーク↓

哲学も、社会学も、よく学んだ

今になって思うと立教大学ではいろいろと学ばせていただいた。

哲学では近代哲学のショーペンハウアーや、ハイデッガー、ニーチェをかじり、エリアーデも面白く読んだ記憶がある。

社会学も興味深かった。

マックス・ウェーバーの説くプロテスタンティズムと資本主義の精神について何度もクラスで話し合ったことも懐かしい(あんまりよく理解していなかったけどね)。

他にも、古代イスラエル史、人類学、理学部の授業なども選択科目でとってみたが、どの分野も身動きがとれなくなるほどの密度の濃さで、膨大な知の系譜を前に圧倒された。

なかでも、宗教音楽と宗教美術にひときわ感動した。

知れば知るほどにキリスト教美術は不可思議で、特にマグダラのマリアなどはすべてが隠喩的で、表現の限界があった当時、様々な意味合いを込めて女性性の復活や血の結びつきが語られていて、少ない知識ではとても理解仕切れないほどに奥深いのが音楽と暗号である当時の美術なのだ。

研修旅行ということで、ラベンナのモザイクとグレゴリアン・チャントを聴きに、皆川達夫教授、名取四郎教授と一緒に私たち学生も2週間ほどイタリア周遊できたことは今となっては良い思い出だ(お二人の本を以下に載せた)。

お二人とも、とても紳士で、行く先々の教会で素敵な課外授業を繰り広げてくださる知の巨人だった。

キリスト教美術の源流を訪ねて (2) 地中海都市編

中世・ルネサンスの音楽 (講談社学術文庫)

その旅がきっかけで、私のなかのイタリアはどんどん大きくなっていった。

そのままイタリアにハマり。。。

卒業論文のテーマもイタリアの社会学をベースにしたものでおさめた。

しまいにはアリタリア航空にも勤めるというご縁にも恵まれた。

しかし結婚後、夫と海外を転々として、結婚8年目に娘を抱くことになる。

そんな学業とは無縁となった一母親が、10年以上のブランクをへて、娘の誕生を契機に目覚めた。

妊娠以来、毎日新聞インタラクティブで産後まで拙い連載を書かせて頂いていたが、お産について知れば知るほど、その小さな窓からは私たちの生きる社会がありありと見えてくる。

うやむやではなくて、女性として今の時代に生かされながらしっかりと理解しておきたいと思うことが自分のなかで次第に山積みになっていった。

漠然と知りたかったことがフォーカシングできてくると、同時に勉強し直したいという気持ちが高まる。

そこで色々と読み漁っていたところに夫のスコットランド転勤である。

良いタイミングに祝福されて、娘は自宅から徒歩5分のナーサリーにいきなりだったにもかかわらず週3回通わせてもらえることになり、英会話学校にも通えて、最終的にはこうして一学期の論文も提出できたのだから、本当にありがたいことだ。

世界で今も女性は産んでいる。

語られてこなかった女性たちの歴史は、本当に凄いんだ。

それをみんなと分かち合いたい。

だから、

今の自分に何ができるんだろう????

今日も同じ思考のループに乗っかって、静かに窓の外を眺めている。
→次号に続く

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お読み下さりありがとうございました。

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