
エジンバラから少し遠出して、週末旅行に行ってきた。
スコットランドの世界遺産ニューラナークだ。
いろいろな意味で悪名も高かった産業革命で、人々の生活が一律に管理されていく中で、この村だけは人々の健康を守り、就労時間以外はレクリエーションも豊富に提供されていた。
病人も他の産業都市よりずっと少なく、次第にニューラナークは産業革命時代のロールモデルとなっていった伝説の村だ。
今では、昔ながらの遊びが体験できるエドゥケーショナルな博物館となっている。
写真は、鉄の輪が倒れないようにバランスをとりながら、鉄の棒で輪を手前に転がしていく遊びだ。
かなりのスピードで走り続けないと、輪がすぐパタンとなってしまう。とても難しくて、私は一度も成功せず。。。
すぐに諦めてしまったよ(涙)。
昔から、難しいことは苦手で、努力するのも嫌いだった。
そんなあの頃の自分を振り返ってみると、中学までは学級委員をするようなタイプだったんだよね。
それが、高校に入って一気にデビュー。
授業なんてそっちのけでいくつものクラブ活動をかけもちしながら文化祭に、体育祭に没頭し。。。
そのうちに成績も下降線を辿り、ついに高校3年の進路指導では、第一志望校を先生に伝えるなり『悪いことは言わないから考え直しなさい』と諭されるまでになっていた。
私は外国の人々の生活や宇宙観、死生観などに興味があったので、そのようなことを勉強できる学科を受験するつもりだったのが、心ない担任のひとことに一時は『そうか、自分の力では無理なんだ。。。』と思った。
ところが、導入されたばかりの小論文の一芸入試制度のおかげで、奇跡的にも第一希望校の学部学科に拾ってもらうことができた。
この写真もニューラナーク↓
哲学も、社会学も、よく学んだ
今になって思うと立教大学ではいろいろと学ばせていただいた。
哲学では近代哲学のショーペンハウアーや、ハイデッガー、ニーチェをかじり、エリアーデも面白く読んだ記憶がある。
社会学も興味深かった。
マックス・ウェーバーの説くプロテスタンティズムと資本主義の精神について何度もクラスで話し合ったことも懐かしい(あんまりよく理解していなかったけどね)。
他にも、古代イスラエル史、人類学、理学部の授業なども選択科目でとってみたが、どの分野も身動きがとれなくなるほどの密度の濃さで、膨大な知の系譜を前に圧倒された。
なかでも、宗教音楽と宗教美術にひときわ感動した。
知れば知るほどにキリスト教美術は不可思議で、特にマグダラのマリアなどはすべてが隠喩的で、表現の限界があった当時、様々な意味合いを込めて女性性の復活や血の結びつきが語られていて、少ない知識ではとても理解仕切れないほどに奥深いのが音楽と暗号である当時の美術なのだ。
研修旅行ということで、ラベンナのモザイクとグレゴリアン・チャントを聴きに、皆川達夫教授、名取四郎教授と一緒に私たち学生も2週間ほどイタリア周遊できたことは今となっては良い思い出だ(お二人の本を以下に載せた)。
お二人とも、とても紳士で、行く先々の教会で素敵な課外授業を繰り広げてくださる知の巨人だった。


その旅がきっかけで、私のなかのイタリアはどんどん大きくなっていった。
そのままイタリアにハマり。。。
卒業論文のテーマもイタリアの社会学をベースにしたものでおさめた。
しまいにはアリタリア航空にも勤めるというご縁にも恵まれた。
しかし結婚後、夫と海外を転々として、結婚8年目に娘を抱くことになる。
そんな学業とは無縁となった一母親が、10年以上のブランクをへて、娘の誕生を契機に目覚めた。
妊娠以来、毎日新聞インタラクティブで産後まで拙い連載を書かせて頂いていたが、お産について知れば知るほど、その小さな窓からは私たちの生きる社会がありありと見えてくる。
うやむやではなくて、女性として今の時代に生かされながらしっかりと理解しておきたいと思うことが自分のなかで次第に山積みになっていった。
漠然と知りたかったことがフォーカシングできてくると、同時に勉強し直したいという気持ちが高まる。
そこで色々と読み漁っていたところに夫のスコットランド転勤である。
良いタイミングに祝福されて、娘は自宅から徒歩5分のナーサリーにいきなりだったにもかかわらず週3回通わせてもらえることになり、英会話学校にも通えて、最終的にはこうして一学期の論文も提出できたのだから、本当にありがたいことだ。
世界で今も女性は産んでいる。
語られてこなかった女性たちの歴史は、本当に凄いんだ。
それをみんなと分かち合いたい。
だから、
今の自分に何ができるんだろう????
今日も同じ思考のループに乗っかって、静かに窓の外を眺めている。
→次号に続く
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お読み下さりありがとうございました。
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