あるお母様から頂いた感想 ~ドゥーラケアについて~

IMG_2551
<産婦さんに教えてもらうこと。今の、ここで、生命力にゆだねる!>

20年以上前にイタリアの国営企業に就職して、月に何度もミラノやローマへ飛ぶような生活になってみて初めてメールを使いこなすようになった私ですが、当時はそれまでの生活に微塵も不便を感じていなかったので、最初のうちはインターネットの利便性が理解できず、ネットはまったく使っていませんでした。

その後のテクノロジーの加速ぶりはご覧の通り。何もかもがここまで便利な世の中になるなんて当時はまったく予想もしていませんでした。今では、ハタチまでネット知らずの環境で育つことができたことを心から有難く思うと同時に、社会人になってネットワークを広げていく時期にあわせてネットが私の人生に導入され、さまざまなことが可能になったことを振り返ると、タイミング的に信じられない程の恩恵だったように感じます。

もちろん小中学生の親として、子どもたちの日々の使用状況を巡って懸念するところも多いです。さまざまな懸念もされる今のネット社会ですが、それでも海外在住組には有難いことばかりです。例えば、私のようにドゥーラだと、妊娠中~出産~産後と長くお付き合いさせて頂いたご家族と、何年たってもどこにいても、ずっと繋がっていられることがとても有難いです。

最近も写真付きでこんな素敵なメッセージをロンドン在住の日本人ママ、おうかさんから頂きました。長文ですが、ご本人の気づきがとても尊くて、家族愛の成長を感じられる文面に私までとても嬉しくなりました。ご本人の了解を得てこちらでアップさせて頂きます。

おうか出産当日写真
<ひとつのチーム、お産は聖地>

『木村章鼓さまへ、

あらためまして、お産の時はどうもありがとうございました。今お産を振り返ると、あのお産の経験は、暖かいオレンジ色の光に包まれた、自分の両手の中にすっぽりと入るような感覚で思い出されます。

一人目をバースセンターで出産した後は、なぜか痛みをずっと鮮明に覚えていて、それがとてもひどくて、 病院の近くを通るたびに実際、お腹が痛んでいたくらいなのですが、今回は痛みの事は面白いくらいすっかり覚えていません。産後に読んだ雑誌に名古屋の吉村医院で出産した人のインタビューで、ここで産んだ人は次々と産みたくなると書いてあって、私も今回の出産以降同じように思っていたので、良い出産の経験は良い未来へと繋がるんだと思いました。そこであきこさんが、良い出産経験を増やすことが世界平和に繋がるとおっしゃっていたのが今もピンと響いています。

自分の側に絶対的な味方としてサポートしてくださる知識のあるドゥーラさんがいること。それだけでものすごく安心できたのですが、それは私の中でイギリスの医療をあまり信用できていないという事もあるのかもしれません。医療行為としてではなく人間としてのお産は本来どんなものなのだろう?という事をあきこさんのケアを通してあらためて考えられたのが本当に良かったです。

突き詰めて思うと、自分が今から産み出す赤ちゃんのことを、自分と同じように愛しいと思ってくれる人がもう一人傍らにいるということが、最大の安心に繋がったのだと思います。私がドゥーラさんにお願いしようと思ったのは、きっとそれだ。そして、その選択は大正解だった!と思います。

産後にあきこさんに自宅に来ていただいた時にずっと、カヤを抱っこしてくださって、 私の精神がすーっと安定したので、私たち夫婦以外にも新しい命を愛おしいと思ってくれる人が、他にもいるという事を知る事がこんなにも大切な事なのかと気付きました。

国立病院(NHS)の派遣助産師に出張してもらい、ドゥーラにも寄り添ってもらいながらホームバースできた事で、イギリスで同じ経験をした家族たちとつながる機会がたくさんできました。その人達の育児感や人生観から良い影響を受けつつ、より私らしい子育てができるようになってきたという感じです。夫婦の絆も産後はより強い絆になっていると良いのですが(笑)。家族の一体感は本当に増しました、一体感、強く感じています。3人だった家の中に人間が1人増えて、まだこんなに小さいのに存在感が大きく、調和がとれたという感じです。

あきこさんがよくおっしゃっていたイメージする事、これも今まで以上に意識するようになって、とっても楽にいられています。いろいろと教えて下さり本当にどうもありがとうございました。海外に住んでいるからか、自分の居場所、帰る場所という事を考えると、いつも不安定になっていたのですが、今回のお産を通してそのイメージがとても良い方向に大きく傾いた事もとても良かった事です。

あきこさんに来てもらって、命のこんなにすぐ側に寄り添うお仕事に本当に感動して、命のすぐ側のお仕事ができたらどんなに素晴らしいんだろうと思いました。教えて頂いた終末期に寄り添うpalliative doulaもどんなお仕事なのか、調べてみたところ、深く共感しました。ドゥーラは何も特別な言葉がいらないほど、誕生期そして終末期にとって自然な存在に私は思いました。出産の時だけではなく、人生のいろんな場面にそういう存在の人と過ごせたらなと思いました。

ドゥーラを知らない人に説明するのは本当に難しいです。産後、よく聞かれたのですが、どんな説明をしてもいつも相手にあまり伝わりませんでした。で、『「おうかちゃんっ!がんばれ!エイエイオー!」って出産中ずっと手をつないで、くじけそうな時も片時も離れずに側にいて応援してくれる人だよ』と説明するように変えたら、とたんに伝わり出しました。すいません。。。なかなか良い言葉がみつからず、とっても長文になってしまいました。

出産の日はあきこさんと写真を撮ってなかった。。。と思っていたら、撮ってくれてたんですね!嬉しいです!!!写真を見てあんなに早く、穏やかだったと思っていた出産もやっぱり壮絶だったんだなーと思いました。キアノは最初の方は赤ちゃん返り、新生児への嫉妬で大変でしたが、今ではすっかりお世話もしてくれて、自慢の弟をいろんな人に自慢して回っていまーす。ひと安心です。

私はマーケットのお仕事に戻る準備で初めて昨日、搾乳を試してみたのですが全くうまくいかず、ボトルを嫌がる子で、あらためておっぱいの神秘に感動しております。。。

最近の写真を送ります、成長したカヤを見てあげてください。寒くなってきたのでお体大切にお過ごし下さい。またお会いできるのを楽しみにしています!子どもたちを連れてまたいつか必ず遊びに行かせてください。 おうか』

元気そうな文面でホッとすると同時に、葛藤しながら搾乳している彼女の姿が思い浮かばれ、『今頃はおっぱい大丈夫かなぁ』と気がもんでしまいます。こうなると、もうおせっかいな親戚のおばちゃんレベルですよね。でもそれって実は、とってもすごいことだと思うのです。

私は外国でドゥーラとして女性をサポートさせて頂き、同時に、自分自身もたくさんの方々に日々支えられているという関係性の中で生かされています。さらにおまけで、世界中に愛おしい親戚家族がいっぱいできているんだ~!と想うと、ひたすらに有難い気持ちになります。

図1
<お産はいつも特別な聖地。ドゥーラはシャーマンかな?>

‘あきこさんに助けられました’、なんてお言葉を頂くと、いつもこそばゆくて「逆です~それは他でもない、この私の方です!」とひたすらに返すばかりです。先日も5人くらいお母さん方が集まり、子産み子育てのよもやま話をしていたのですが、「こんな風にママたちが集まると、ハッキリ言って言葉なんて要らない境地があるよね~。みんな同じように惨めな気持ちになったり、自分を責めたり、疲労で気を失いそうになったり。誰しも同じ道を通ってきている戦友だー!みたいな」と深い一体感と共に全員が深く頷き合いました。いつも感じることだけれど、つい先日だったので、今、鮮明にその瞬間の女性たちとのワンネスの感覚が残っています。

ドゥーラって、結局は地域のお母さんだから、どこまでいってもピアな関係なんですよね。お産という人類共通の記憶をベースに、女性同士が瞳を合わせる時に、お互いのエネルギーが根元的に交流しあって、私たちは究極的にひと繋がりの存在だと体感する。それがとても心地良くて、祈りのように尊くて、だからドゥーラを続けているんだろうなぁと思います。

まるでチベット仏教の砂絵曼陀羅のような私の短いドゥーラ人生。砂を使って地面に描く美しいパターンのように、新しい土地で新しい絵柄をつむぎ、夫の転勤を告げられたら、過去にこだわらずに一気にさぁ~っと手放して、次の土地へと旅立つ。行った先では休業したり、軌道に乗るのにフランスのように1年もかかる。でも、さまざまな意味でそれまでの成功や執着を断ち、自分の欲から自分を解放させるための修行&恩恵に満ちた経験でした。
そうそう、もうひとつ大事なことがありました。パリに来て最初の頃に産後ドゥーラで伺ったお宅は、お母さまが二人目を産んだばかりで産後の肥立ちがまだ心配される頃でした。上のお子さんも小さくて大変な時に、御主人は出張ばかりということで、乳腺炎になりかけていた彼女が私を呼んだのです。張ったおっぱいをゆるませる方法や、添い乳の姿勢、血流量をアップさせてくれるエクササイズ、足腰をあたためる食事&環境づくりなど、相手の質問に答えながらたっぷりおしゃべりをしました。その方とつい先日数カ月ぶりに会ったら、とても元気そうで、パリでのお友達をどんどん増やしながら駐在生活を満喫されていました。こんな表情をする女性だったんだ!と驚くほど瞳のキラキラ輝く彼女を抱きしめながら私までワクワクしてきました。

ドゥーラとして関わったお母さま方からメールや手紙をもらうことは究極の幸せだけれど、やっぱり実際に会ってハグできるのが最高です。成長して太くなった赤ちゃんの腕に触れながら、「すっかり元気そうで良かった!」と母子のぬくもりを感じられるのがドゥーラをしていて一番の報酬です。もちろん、すべての方々と直接逢えないからこそ、冒頭にも書いた通り、インターネットがその部分を着実に補ってくれてはいるのだけれど。。。

IMG_7894
<私の好きなこと。直接ハグして、お互いをライブで労うこと>

つれづれに書いているので、行きつ戻りつの内容ですが、とどのつまり今回のブログで伝えたかったことは、もしあなたに会いたい人がいて、でも直ぐには会えないなら、メールや電話で勇気を出してみてくださいということと、もし直接会えるなら、少しでも時間を創出して、10分でもいいからライブで会ってきてほしい、という2点なんだと思います。じかに交流するエネルギーは、メタモルフォースの源泉。想像をはるかに超えた力がありますよね。
引っ越しや人との別離は、インターネットの普及のおかげで、今やそれほどハードルの高いことではなくなってきているけれど、それでも逆に今のような時代こそ、実際に会って交流し合うことの価値は計り知れないものになったとひしひし感じます。

‘今のここ’を大切に、ますますこころとからだに優しいお産がこの世に増えていきますように。。。

最後にこちらでもこの夏の3回のお話会のお知らせを再度シェアさせて頂きます。7/12(木)、7/30(月)、8/7(火)のいずれかでメルマガをとってくださっている方々と実際にお目にかかることができたらとても嬉しいです。もしいらっしゃれる方は会場でぜひ声をかけて下さい。

【お産道場 お産の寄り添い「人として大切にされるお産とは」を考える】
日時2018年7月30日(月) 19:00~21:00 18:30開場 終了後22時までフリータイム
会場 NPO法人Umiのいえ  http://www.uminoie.org/
参加費 3500円+税  (お夜食におむすびをご用意しております。)
ゲスト 木村章鼓
お申し込みはこちら: https://coubic.com/uminoie/150119

【 世界に広がるドゥーラの輪〜ドゥーラからの国際便〜 】
日時 : 2018年 7月12日 (木曜日)
9:00より受付開始 終了12:00
場所: 都内
会費 : 4000円  (お茶&お菓子付き 先着 30名)
託児はありませんが、お子様連れ大歓迎です!
申し込み方法:
こちらまでメールをお願いします。
doulashipjapan(@)gmail.com
(@)を@に変えて送ってください。お申し込みをしてくださった方に詳しい場所、スケジュール、お支払い方法など送ります。ドゥーラシップジャパンhp
https://www.facebook.com/events/2144434235785374/permalink/2144439339118197/

【 慶應義塾大学 公開講座 <患者学> ゲスト講演 木村章鼓 】
日時 : 2018年 8月7日 (火曜日)
時間:18:00
場所: 慶應義塾大学 信濃町キャンパス考養舎
参加費 無料
申し込み不要

長い文章を最後までお読みくださりいつも有難うございます。

木村章鼓

ドゥーラ便り:しあわせバース@パリ始動!

すっかりご無沙汰していました、お元気ですか。初めて迎える5月のパリ。ものすごく蒸し暑いです~!

毎日たくさんのことがありすぎて、落ち着いて文章に直す時間がとれないような毎日ですが、パリのバースセンター(http://www.mdncalm.org/)を見学したり、フランスのドゥーラ協会Association Doulas De France(https://doulas.info/une-doula-cest-quoi/historique/)の会合に参加したり、スイスの国境にほど近い山岳地帯でドゥーラをしているJohannaさんや、フランス全土のドゥーラたちを導くパイオニアドゥーラのValerie Dupinさんにお話を伺ったりと情報収集に時間を費やしていました。

パリで先月開催された年に一度のDoula Day(https://doulas.info/journees/)では、フランスにレッドテントを紹介したClaude-SuzanneDidierjean-Jouveauさんの講演を聴いてきました。あまりに理解できず自分のフランス語のレベルを嘆きましたが、一緒に快く同行して下さったパリのソウルメイト、マリサさん(驚異のトリリンガル兼ヨーガマスター! https://marisayoga.weebly.com/ )の通訳のおかげで本当に助かりました。他にも、ハネムーンで日本を訪れた程に親日派のフランス人ドゥーラFanta Canotさんをはじめ、たくさんのドゥ―ラスピリッツの仲間と出会い、「パリにもドゥーラシスターたちがこんなにいたっー!!!」と胸が熱くなっています。妊婦さんに会うこともとても多く、これだけたくさんの女性がパリで産んでいるんだっ!と日々実感しています。

IMG_9884
<美しいものに出来るだけ多く触れると良い妊娠期。プレママグループでお散歩コースを楽しむことも>

今年2018年の1月からは『しあわせバース@パリ』というプレママ向けのグループも立ち上げました。音楽家でありセラピストの坂川奈緒子さんという素敵なママさんと一緒に開いています。彼女の中にすでに会の構想があったところに、タイミングよく私がロンドンからやってきたカタチです。意気投合して、「よっしゃ~始めますかー!」と、さっそく彼女が発起人となってフェースブックで非公開グループを立ち上げて下さり、苗木に水をあげるように大事に育ててくれています。そちらの非公開コミュニティー内でもいろいろやりとりしていますが、定例会に足を運んで下さる方々から、いろいろなケースの出産経験やバースプランを聴くたびに、こんなにたくさんのバラエティーがあるんだ。千差万別、やっぱりお産は興味深いものだと思います。

IMG_6185
<仲間達と持ち回りで開いていたPBMグループの定例会、 人数は10~25名と毎回大きなばらつきがある>

それから、人生、無駄はひとつもない。経験するものにはすべて意味があるなぁと感じるのは、このプレママグループ『しあわせバース@パリ』というのは、私がロンドンで参加していた活動Positive Birth Movement、以下PBMにとても近い形態だということです。これからプレママ向けの集まりを主催しようと思っている方にはぜひ参考にして頂きたいのですが、PBMはUKの妊婦さんの間で地道に人気を獲得してきたスタイルです。なんと世界中に‘リアルライフ’で450グループも存在します。フェースブックなどのSNSコミュニティーが450ではなく、本当にリアルライフでのPBMの集まりが450ですよ!中でもお膝元のイギリスは実施数が一番多く、聞きつけた妊婦さんが「私の住むエリアでは、どこにグループある?」と店舗探しをするような勢いでPBMの地域コミュニティーの番地をグーグルサーチする姿もちらほら。UKのママ達に広く受け入れられているこのムーブメント、助産師やドゥーラがオーガナイザ―であることがほとんどです。私もロンドンでは地元のイギリス人ドゥーラ3名と毎回持ち回りで自宅のラウンジを開放して開催していました。

IMG_2391
<薄暗いですが、こうやってお産の専門家が集まって勉強会もします。 SOISという名の会なのですが、一番多いのが日本人助産師さんです>
IMG_2393
<お産関係で女性たちがワイワイ集まると、一品持ち寄りで毎回これだけ豪華なランチになります>

なぜPositive Birth Movementが欧米でここまで浸透したのか。その秘密を解く鍵は、バーチャルではなく、実際にその場に出向いて、深い共感をもって相手の話を聴き合うという‘リアルライフ’独特のスタイルにある気がします。上から下に知識を伝授することが一般的な母親学級とも違い、参加した妊婦さん同士がピアな関係で終始シェアリング。そして出産体験者から体験談も聴ける。このあたりが、今のような時代、ネットからの情報で頭はいっぱいだけれど、一方で孤立しがちなネット世代の妊婦さんの求めているクオリティーとマッチしたのではないでしょうか。

DoulasMidwivesTogether
<英国では、‘ドゥーラとミッドワイフの協働’はポスター
なども刷られ、多くの施設でプロモートされていて、私たちの
PBMにも地元の国立病院の助産師がほぼ毎回出席してくれていた>

一般的な産前学級などでは、専門家からの情報は入手できても、そこで「自分もその場に参加した」という一体感は得られにくいケースが多い気がします。妊婦さんがお互いのお腹に触れられるような空気感。お互いを気にかけ、近い未来に互いのべビちゃんたちが顔を会わせられる日を夢みて、同じ目的に向って、似たような葛藤をシェアし続けていると、「大事な何かを分かち合えた」というチーム感は高まり、それが心細い妊婦さんにとってかけがえのないエンパワメントになります。さらには、先輩ママの出産体験談を聴いたり、素朴な疑問をグループに投げて、助産師やドゥーラに聞いてもらったり、答えてもらって安心することもできるのです。

大事なことなので、繰り返します。「私の気持ちをしっかり誰かに受け取ってもらえた」という満足感があればあるほど、その方が続けて通う動機が生まれます。そうやって、来たる日まで参加者同士が交わす励まし合いは、数値には表せないけれど、お産の日にとてつもない励みになります。

それでも初回から自分の気持ちをシェアしてくれる方はなかなかいないもので、最初のうちは主催者がリードをとる必要があるかもしれません。主催側のコアメンバーが繰り返し語る出産体験であってもいいと思います。その日の切り口で、母乳育児につながったり、パートナーシップの話におよんだりと、違う視点で語りが展開していくことは、どなたのお話を聴いていてもそうですが、ドゥーラの私が最も面白さを感じる部分です。人生って、お産って、本当に万華鏡のようだなぁ、と。

PBMをベースに私たちの『しあわせバース@パリ』も、メインスピーカーがいる時もあれば、ドキュメンタリーなどの映画の上映会をすることもあります。忙しいママたちで協力し合いながら細々と主催しているのですから、その時々で流動的であっていいのだと思います。

長くなってしまったので、辛いお産体験をした方がポジティブバースグループに参加される場合についてはまた次回、書きますね。

最後に2つ、私の夏の一時帰国に合わせて開かれるイベントのお知らせをさせて下さい。まずひとつめは、来月7月12日(木)9時~12時でお話会があります。アメリカから一時帰国する宇津澤紀子さんと一緒に登場させて頂きます。紀子さんはアロマ・マッサージセラピストであるばかりか、母乳育児支援やスピニングベイビー、レボゾなどを学ばれてきたドゥーラで、たくさんの貴重なお話が出てくるかと思います。なかなか実際にお目にかかれない方と会えるチャンス!と私も楽しみにしておりますので御都合がつくようでしたらぜひいらして下さい。詳細はドゥーラシップジャパンのページをご覧ください。

https://www.facebook.com/events/2144434235785374/

【 世界に広がるドゥーラの輪〜ドゥーラからの国際便〜 】

日時 : 2018年 7月12日 (木曜日)
9:00より受付開始 終了12:00
場所: 都内
会費 : 4000円
お茶&お菓子付き
先着 30名

託児はありませんが、お子様連れ大歓迎です!

申し込み方法:
こちらまでメールをお願いします。
doulashipjapan(@)gmail.com
(@)を@に変えて送ってください。

お申し込みをしてくださった方に詳しい場所、スケジュール、お支払い方法など送ります。

そしてもうひとつのお知らせは、2018年7月30日(月)の夕方から、横浜の『Umiのいえ』の主催する『お産道場』でゲストとしてお話させて頂きます。‘人として大切にされるお産とは’がテーマとなります。主催者の斎藤麻紀子さんは、とってもチャーミング&パワフルなバースアクティビストです。最初に叱咤激励して頂いて以来、思い返せば15年。こんなにも至らないところの多い私を常に励まして下さり、インスピレーションを与えてくれる本当に素晴らしい先輩ママです。こちらもぜひたくさんの方に聴きに来て頂けたら嬉しいです。麻紀子さんは御夫婦共にセラピストで、手作り感いっぱいのサイトも素晴らしいので、お時間ある時にどうぞ覗いてみてください♪

長いブログになりました。拙い文章をお読み下さり、いつも本当に有難うございます!

Recipes for Normal Birth(正常産のレシピ)

この写真が、赤とピンク、2色のフェルトで縫ったハンドメイド‘命の道’です。
この写真が、赤とピンク、2色のフェルトで縫ったハンドメイド‘命の道’です。

少し前に、ここロンドン南西部でSara Wickhamさん(http://www.sarawickham.com/tag/induction/)の勉強会に参加してきました。

Saraさんはイギリスだけでなく世界的に注目されている助産師さんで、単独でデータを収集し徹底的に検証するというそのインディペンデントな姿勢は本当に素晴らしいです。嬉しかったのは、12年くらい前にエジンバラ市内の看護大学で行われた数回の公開講座に出席(看護学生でない私のようなドゥーラも多く出席していました)していた私のことを覚えていて下さったことです。単に日本人は珍しかったのでしょうが、生徒一人一人に目を配る温かさを感じました。

ともかく、先日のロンドンでの勉強会は充実していて、そのタイトル、Recipes for Normal Birthも気軽に学べそうな魅力にあふれています。美味しいご飯のレシピが欲しいように、誰だって正常産のレシピって?と覗いてみたくなりますよね。サラさんにRecipes for Normal Birthを広めることになったきっかけを伺ってみました(文末の英文も参照)。

「世の中には様々なたぐいのお料理本や、‘これは効く!’という処方箋や、指南書などが出まわっていますが、すべての人にぴったり当てはまる一冊なんて存在しません。お産においても同じこと。一律に行うルーチン介入という考え方は、すべての女性にフィットするはずがないのです。これからはルーチンという発想から身を遠ざけ、前向きな気持ちで、より現実的になっていくことが求められているのです。つまり、助産師として、助産学生として、医師として、ドゥーラとして、産前教育者として、そしてその他多くの周産期母子ケアに関わるケアの提供者として、一人一人に考えてみてもらいたいのです。‘一体、何が自分の力でコントロールできる範囲のものであるのか。そして、どうやってもコントロールできないものは一体何なのか?’ということを。たとえ思ったように進まないシナリオに出くわしても、そこで乗り越えていけるだけの基本的材料(basic ingredients)を確認しておきましょう。想定外への対処法や、思わぬ必要性に備えて用意しておきたいリソースの詰まった袋(a kitbag of resource)は、お産に関わるすべての人がそれぞれに持っておきたい大切なレシピです」といった風に、お産の過程とお料理のイメージを重ね合わせています。確かに、Saraさんの仰るポイントは分かります。妊娠中から自分なりのレシピを整えておくことの大切さは、母子ケアに携わるケアギバーばかりではなく、実は妊婦さんにこそ意識してもらいたいなと思います。

妊婦さんの場合には、さまざまなことを冷静に想定しながらも、感覚的なものを総動員して、さまざまなレシピの中から自分のレシピを選ぶ。例えば、住んでいる場所、その時の赤ちゃんの様子、自分の体調や、もともとの体質、環境や周囲のサポートなど、その時の状況から総合的に判断して、‘これが今ある自分の持ち札の中で最善の選択であろう’と思えるものを選び、そこで最も必要なものは何かについて考える。つまり、何が自分の求めるもので、自分にとってそれは本当に必要なことかを見極めていく、といくわけです。

‘レシピ’という言葉がぴったりなほどにいろいろな要素がよくも悪くも盛りだくさんな今のお産。自分なりに真剣に学び、選択していくことが、産後の納得感やその後の充実した子育てにつながっていくとても大事なプロセスだと感じます。そして、シンプル イズ ベスト。お料理の場合も、原材料にこだわったシンプルなものほど美味しいことを忘れてはなりません。

脱線しましたが、Saraさんの勉強会では、赤いフェルトを使って‘命の道’を縫う手芸コーナーなどもあって、美味しいランチとともにとても充実した勉強会でした。お産が進まない時に、トイレにこもって便座に座ったりすることは知られていますが、その際に、アロマオイルを便器の中に数滴垂らすと効果的といった使い方や、分娩中の姿勢といった実用的な知恵や知識もこの日はいろいろと学びましたが、ドゥーラの私があらためて確認した何よりも得難いものは、ドゥーラの役割の根幹をなす‘お産においてただ純粋に寄り添う’ということの意味についてです。

妊産婦さんと一緒に過ごす。椅子に座っているだけでもいい。産婦さんの傍らでチクチク裁縫をしたり、陣痛中に編み物をしているだけでもいい。その存在がどれほどの力となり、実際のお産によいインパクトを与えるかについて、Saraさんはシステマティックに、また明快に説明し、会場のドゥーラたちを何度もハッとさせました。

彼女のオフィシャルサイトには、たくさんの論文が惜しげもなくアップされていて、人工オキシトシンを分娩中に使用する母子への影響について分かりやすくまとめられた論文

( http://www.sarawickham.com/wp-content/uploads/2015/07/05-2015-01-Synthetic-Oxytocin-looking-beyond-the-benefits.pdf )

なども読めます。産むかもしれない方には出来るだけたくさん眼を通しておいて頂きたいと願ってやまないものばかりです。「いくらでもダウンロードして使って下さい」とSaraさんご本人も薦めていらっしゃるので、オフィシャルサイトからこの機会にみなさんも無料でいっぱい学ばれてみてください。

Recipes for Normal Birth by Sara Wickham

I think we need to move away from thinking that routine practices are the answer, and to stay positive by getting realistic about what we – as midwives, student midwives, doctors, doulas, childbirth educators or other birth workers – can and cannot control.  We need to understand the basic ingredients, know how to adapt them when things aren’t going to plan, and have a kitbag of resources to draw upon when something a bit extra is needed.