第16回 入学後に待っていた試練

晴れて大学院生になりましたーっ

とにこやかだったのは、ほんの数日だった。

いきなりイギリス人の医師(GP)とドイツ人の先生に課題図書を山ほど与えられた。

大学が誇る24時間オープンの図書館へのアクセスカードも作ってもらう。

同じクラスメートはみんなものすごく優秀。

私一人、初日から落ちこぼれ。

そんな気分でスタートを切った。

私は一番の年上で、先生方を覗いて、唯一の子育て真っ最中の母親だった。

でも、エジンバラは大学都市である。

学内のナーサリーを数カ所(数カ所もあるのがすでに凄い!)見学に行ったところ、たくさんの学生が赤ちゃんを預けていると聞いて、心底驚いた。

結局はシュタイナースクールを選んだので、大学内の保育園は利用しなかったが、学生の子供達も教授達の子供達も楽しそうに過ごしていて、なかなか良さそうなナーサリーだった。

毎日、娘が眠ると、どろどろに疲れたカラダに鞭を打って起き出して課題論文を読んだ。

分からないことだらけで、電子辞書を使って調べる。

かちゃかちゃと打ち込む音やパソコンの音でたまに娘が起き出してくる。

授乳を続けていたので、夜中に一回、2時くらいにたっぷり飲ませて、再び寝かしつける。

学べるということがとにかく楽しくて、寝不足が当たり前の生活だった。

なぜ更年期障害を訴える女性のいなかったとある地域で、急に更年期障害(メノポーズ)で薬に頼る人口が急増したか理由を探ってみたら、その数年前から、製薬会社がメノポーズの専門薬を開発し、その地域に売り込み開拓の手が入っていたからだった、とかいう論文だったり、ネパールでの結核患者の推移と製薬会社の新薬開発が複雑に絡み合っている事実であったり。

オックフフォードの医学部の学生達を相手に行った研究では、最初のうちは、切ったり貼ったりすることに抵抗のある新入生達が、一体入学からどのくらいの時間たった頃に、人のカラダを単なる人体として処理できるようになっていくのかという推移の研究だったり。

はっきり言って、医療人類学とは、恩恵として近代医療をとらえつつも、同時に、厳しい視点で医療の在り方を批判し、本来のウェルビーング(健康な在り方)を模索する学問だなあと思った。

しかも、その学問を教えている当人が医師達なのだから面白い。

そんな内部告発のような世界の研究の数々をみんなで読んでディスカッションをしていく。

私は英語ができないからディスカッションが弱い。

でも、幸いにもイギリス人の女性のマーズランド先生(アフリカ研究をされていた)が娘と同い年の男の子のママだった。

ディスカッションでは、彼女が私をよくフォローして支えてくれた。

休日には自宅に呼んでくれて、子供達を遊ばせながら、私の理解できていなかった部分を丁寧にフォローアップまでしてくれた。

彼女が私の熱意に深く共感してくれていたのは痛いほど感じていた。

同じ母親として付き合っても下さる。

本当にありがたい存在だった。

だから、卒論の準備など、頑張ろうと思う時には、いつもマーズランド先生に相談をして決めていった。

出産の在り方は、未来をつくる。

だから、あなたが頑張っていることはすごく大事なこと!

イギリスの旧家に育った彼女の上品なブリティッシュアクセントが今も耳の奥に残る。

→次号に続く

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第15回 試験と時空間のお助け

ワンチャンスのIELTSの試験日、いつもと全く変わらない自分を装って、娘にピンク色のカーディガンを羽織らせてナーサリーへ。

預ける間際、いつもの通りに抱きしめたら、ぎゅ〜っと強く抱きしめてきた。

うおおお〜〜〜元気でる〜〜〜

いきなりの外国暮らしでも、子供の方がやっぱり順応性があって、娘はいきなり週3回のナーサリー生活(英語学校が週3回だったので)でも、一体誰に似たのかと思うほど愛嬌を振りまいて保育士さん達に可愛がられていた。

預ける時は、じゃあね〜と抱きしめたくても、さ〜っとおままごとの方へ行ってしまうので、まともに抱っこできなかったから、抱きしめられて母親の方が嬉しくなる。

母、頑張ってくる〜!!!!!

スプリングコートの襟を立て、足早に同じ道の端にある英会話学校まで行く。

そして、試験が始まるまでの一時間ほどはスピーキングテストの時事問題用に朝のニュースを読んだり、これまでに間違えた英単語を見返して過ごした。

自動販売機でホットココアを買うが、指先が緊張で震えてきてお腹が痛い。

痛いんだよっ!

情けないな〜もう。

と落ち込んでいたら、韓国人学生の女の子が、大丈夫?頑張ろうね!と声をかけてくれた。

私よりもずっと若いのに、堂々としていて偉いなあと思ったし、ありがたいというか、ただもう、この子が良い点数を取れますように、、、と願っていた。

願うことで、かなり緊張が溶けて楽になった。

自分のことでいっぱいいっぱいになっているより、誰かのために願う方がずっといいや!とこんな状況の中であらためて実感した。

余談だが、この英会話学校にはアジア人の学生が8割くらいと多く、中でも韓国人が多かった。

その彼女もすごく英語が上手で、韓国の英語教育や受験戦争がしのばれた。

リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと4種類の試験が全部終わるのに4時間ほどかかる。

こんな始まりで、4時間後の私はどうなっているのか、、、と思ったが、始まってしまうと、通常のクラスで使っている教室なのが幸いして、不思議なくらい気持ちが落ち着きを取り戻し、いつものクラスと同じ感覚で試験を受けられた。

空間の持つ力というか、アドバンテージとなってみて、あらためて時空間の大きさを思い知らされた。

これはお産にも似ていると思う。自分の住み慣れた空間。いつもの匂い、いつもの天井、いつもの壁。そのスペースの力を借りて、自分の力をマックスに発揮できたと思う。

思った。

だが、

結果は、

果たして、、、6.0であった。

あああああ付け焼き刃ではやはりダメだったか〜。

と落ち込むが、ダメ元で、大学院の教務課に直談判しに行くことにした。

自宅からバスで1回乗り換えて、歩きも含めてトータル30分ほどの場所にあるエジンバラ大学大学院。

事務の女性はとても優しかった。

推薦状のコピーや願書のコピーなども全て見た後で、

「そうなのね。6.0は惜しかったわね。

新学期が始まってしまうけれど、次のIELTSの試験日はいつ?」

私が日にちを答えると、

「あら、そう。2週間ほど締め切り日を過ぎてしまうけれど、待ちますよ。6.0取れているなら、見通しが明るいから、10月頭までなら多めにみます」

と言ってくれたのだ。

良かった〜!!!!

行ってみて良かった〜!!!!

その場で、とりあえず入学が決まっのだ。

諦めないで、ドアは自分から叩きに行かなくてはダメだな、と思った。

後からわかったことだが、私のような滑り込みのケースも毎年あるらしい。

ノウハウみたいなことを全く何も知らないで、一切の情報をもたずに現地入りした私でも、最終的にはなんとかなったのだ!

これで、勉強ができる〜!!!!

帰宅した私がキッチンで小躍りしたことは言うまでもない。

何せ、IELTSの試験までは真夜中に起き出しては、写真のように勉強机に向かってひたすら勉強しまくっていたのだから。

その晩は家族3人でささやかにジンジャエールでお祝いをした。

もう、ショウガの味、苦くない。

そう私は感じていた。。。

→次号に続く

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第12回 お産椅子への旅の謎 

日本からごっそり本を持ってきた。

私は本が無いと死んでしまう〜という人だ。

06年春、東京の家を引き上げるにあたって、運送会社用に品物リストをつくった。

保険のためとはいえ、これが本当に面倒くさくて、スプーン10本何千円相当とか、Tシャツ20枚およそ何千円とか、いちいち金額まで記入しなくてはならない。

ため息をつきながら一冊ずつ数えたところ、約1000冊あった。

かなり捨てて、

かなり古本屋にまわして、

かなり屋根裏部屋に残して、

それでもどうしてもスコットランドまで持っていきたい本が、

1000冊である!!!!

『こんなに持って行ってもいいんだろうか。。。』と考えたけれど、送って本当によかった。

だってさ、外国にいると、ときたま日本語がたまらなく恋しくなる。

最近あらためて読んで面白かったのは、『お産椅子への旅』(長谷川まゆ帆 岩波書店)だ。

著者は東大の先生で、今やほとんどの人が聞いたことも見たこともない不思議な『お産椅子』というツールをめぐる歴史的考察が見事にまとめられている。お産椅子への旅―ものと身体の歴史人類学Amazon(アマゾン)1,387〜6,400円

『自分らしさ』に水をやる

座って産む(座産)ための椅子が、なぜ16~7世紀にヨーロッパ中に伝播し、そして19世紀に瞬く間に消えていってしまったのか?

筆者、長谷川氏が旅を重ねつつ、文化人類学の視座から、‘新しい感覚や感受性を生み出していく『もの』と、身体の力学、ダイナミズムに目を開かれ(本文引用)’ていくその過程は、普段なにげなく在る周囲の『もの』と自分との関係を今一度考えさせてくれるものだった。

一冊本を読むと、またひとつ世界が開けたような気持ちになる。

世界があまりに広くて、自分があまりにも何も知らなさすぎて、怖さに打ち震えてくることもある。

でもね。

昼間、エジンバラの街中で、英語を少しでも上手に操ろうと頑張ってみてもさ、自分が現地の小中学生レベルに思えて情けなくなる私でしょう。

そんな中、夜なべして1冊を日本語で読みきると、なにか『自分らしさ』のようなものに水をやった気がしてスーッとしたりするんだ。

となると、『自分らしさ』とは、いかに、言葉をふくめた『文化』に依存しているものかと思ってしまう。

いきなり太字ですみません↓

よっしゃ文化人類学からお産を学ぶ!

私が日本から持ってきたお産関係の本は、文化人類学系に偏っている。それも医療人類学関連ばかりだ。急激な医療化が人々の生活にどのような影響を与えてきたのかを考える医療人類学において、お産とはわかりやすい研究対象のひとつなのだ。

と思いっきり太字で強調してしまった(汗っ)。

今月でちょうど2歳半になる娘を開業助産師に見守られてホームウォーターバースで産んで以来、お産とはさまざまな可能性を秘めたものだと思うようになった私だが、文化人類学の本を読めば読むほど、ここUKはお産を学ぶにはもってこいの場所だと認識する。

妊娠中の母子の経過が良好で、もともと健康に特に問題のない女性で、正常産が予想される場合。

しかるべき介助者(ミッドワイフ)とのホームバースはより安全でより安楽なものになる可能性が高いといったことも、WHO(世界保健機構)も提言しているように、日本よりもUKではしっかり認識されているのだ。

さすが、RCM(ロイヤルカレッジオブミッドワイフリー)の王立助産師学校がしっかりと整っているNHS(国立病院)システムを誇るイギリスだ。

ガンガン学んで、日本の未来に恩返ししていきたい。

まずは助産師さんの応援だな!

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お読み下さりありがとうございました。

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