
晴れて大学院生になりましたーっ
とにこやかだったのは、ほんの数日だった。
いきなりイギリス人の医師(GP)とドイツ人の先生に課題図書を山ほど与えられた。
大学が誇る24時間オープンの図書館へのアクセスカードも作ってもらう。

同じクラスメートはみんなものすごく優秀。
私一人、初日から落ちこぼれ。
そんな気分でスタートを切った。
私は一番の年上で、先生方を覗いて、唯一の子育て真っ最中の母親だった。
でも、エジンバラは大学都市である。
学内のナーサリーを数カ所(数カ所もあるのがすでに凄い!)見学に行ったところ、たくさんの学生が赤ちゃんを預けていると聞いて、心底驚いた。
結局はシュタイナースクールを選んだので、大学内の保育園は利用しなかったが、学生の子供達も教授達の子供達も楽しそうに過ごしていて、なかなか良さそうなナーサリーだった。
毎日、娘が眠ると、どろどろに疲れたカラダに鞭を打って起き出して課題論文を読んだ。
分からないことだらけで、電子辞書を使って調べる。
かちゃかちゃと打ち込む音やパソコンの音でたまに娘が起き出してくる。
授乳を続けていたので、夜中に一回、2時くらいにたっぷり飲ませて、再び寝かしつける。
学べるということがとにかく楽しくて、寝不足が当たり前の生活だった。
なぜ更年期障害を訴える女性のいなかったとある地域で、急に更年期障害(メノポーズ)で薬に頼る人口が急増したか理由を探ってみたら、その数年前から、製薬会社がメノポーズの専門薬を開発し、その地域に売り込み開拓の手が入っていたからだった、とかいう論文だったり、ネパールでの結核患者の推移と製薬会社の新薬開発が複雑に絡み合っている事実であったり。
オックフフォードの医学部の学生達を相手に行った研究では、最初のうちは、切ったり貼ったりすることに抵抗のある新入生達が、一体入学からどのくらいの時間たった頃に、人のカラダを単なる人体として処理できるようになっていくのかという推移の研究だったり。
はっきり言って、医療人類学とは、恩恵として近代医療をとらえつつも、同時に、厳しい視点で医療の在り方を批判し、本来のウェルビーング(健康な在り方)を模索する学問だなあと思った。
しかも、その学問を教えている当人が医師達なのだから面白い。
そんな内部告発のような世界の研究の数々をみんなで読んでディスカッションをしていく。
私は英語ができないからディスカッションが弱い。
でも、幸いにもイギリス人の女性のマーズランド先生(アフリカ研究をされていた)が娘と同い年の男の子のママだった。
ディスカッションでは、彼女が私をよくフォローして支えてくれた。
休日には自宅に呼んでくれて、子供達を遊ばせながら、私の理解できていなかった部分を丁寧にフォローアップまでしてくれた。
彼女が私の熱意に深く共感してくれていたのは痛いほど感じていた。
同じ母親として付き合っても下さる。
本当にありがたい存在だった。
だから、卒論の準備など、頑張ろうと思う時には、いつもマーズランド先生に相談をして決めていった。
出産の在り方は、未来をつくる。
だから、あなたが頑張っていることはすごく大事なこと!
イギリスの旧家に育った彼女の上品なブリティッシュアクセントが今も耳の奥に残る。
→次号に続く
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お読み下さりありがとうございました。
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