第20回 以心伝心 母の想い

自らの妊娠をきっかけに興味をもった、「医療人類学」。

社会人学生になって半年以上がたち、ときには子どもを連れてのキャンパスライフにも、ずいぶんと慣れてきた。

さて、今回は・・・・・

‘人’らしくなった娘。すごいなぁ

Araucaria araucana

植物園で思わずみとれてしまった。

名前は「Araucaria araucana」とか。

はじめのうちは課題図書(ほとんどがウェブ・ジャーナル) ひとつ見つけるにもコツがわからず膨大な時間をかけていたが今では費やす時間は 入学当初の10分の1くらいにスピードアッ〜プ!

娘も今月でようやく3歳の誕生日をむかえ、だんだん手がかからなくなってきた。

とうぶん夜中2時ごろの授乳1回は欠かせそうもないけれど、ひとりでトイレに行ったり、靴を履いたり(左右逆になることがほとんどだけど)、大きな声で‘おひなさま’の歌を歌ったり。。。

すごいなぁと思ってしまう。

大人にとっては何でもないことかもしれないけど、人は3年も生きると、こんなに‘人’らしくなってしまうもんなんだ。。。

大学院はオーバーワーク、さらに授乳でふーらふら

ああ、でも相変わらずおっぱいは飲んでいるおかげでまだまだ動物の赤ちゃんらしいところはたっぷりあるか。

常日頃から、まわりと比べたりしないで、あせらず大きくなっていくのを見守ろうとする私だが、おっぱいに関しては‘そろそろなんととかしようかな~’という気持ちも最近になって遅ればせながらでてきた。

というのも、大学院は面白いのだけれど、なにせ課題がありすぎて、授業のない日も図書館に行ったり、クラスメートとパワーポイントでのプレゼンテーションの準備をしたり。。。

しかも隔週でSBAT(スコティッシュバースティーチャーズアソシエーション)のエドワーズ博士の週末コースもある。

この瞬間も娘を夫に託して大学のコンピュータールームで書いている。

ちなみに日曜日の夜10時! 

トホホ。。。

バスに乗るとはいえ、大学の近く(30分)に住んでいてよかった!

私にとってかなりのオーバーワークになっているから、これで通学が大変だったら倒れていただろう。

毎日が寝不足。

さらに授乳もしているので身体はもう、ふーらふら(涙)

誰か、、、助けて、、、

って言いたいけど、好きなことをしているからねえ。

ママ学生同士「お互いがんばろうね」

ミモザの花

まわりのクラスメートたちは、週に3回しかナーサリーに行かせてないの? もっとあずける日数を増やせば? と心配してくれるけど、

私は「娘と過ごす時間も勉強以上に大切だから。。。」と、つたない英語で語尾をにごらせながら、ナーサリーにあずけない日は娘を連れて図書館に通っている。

「一緒に大学いく?」

と聞くと、満面の笑みで「ウンっ!」と答える娘は近頃ではすでに勝手がわかっているらしく、私がジャーナルを探すあいだ、おとなしく絵を描いたり、絵本を読んでいてくれる。

以前にも書いた通り、ママさん学生も相当数いるらしく、図書館でベビーカーとすれ違うこともある。

そんな時はまるで戦友のように親同士、「お互いがんばろうね」とアイコンタクトを交し合ってしまう。

「まぁかわいい学生さんね」とマーティン教授

雪景色
3月、雪が降った。さまざまな表情を見せてくれる冬の終わりのひととき

先日は、NY大学からやってきたエミリー・マーティン教授の特別集中講義に娘を連れて行った。

夕方5時にナーサリーに迎えに行ってくれるはずの夫の予定が、急な仕事でだめになり、ほかに選択肢はなかった。

マーティン教授は女性の性と生殖に関する分野では第一人者の医療人類学者だ。

どんなことがあっても聴きたい講義だったので、サラの手を引っぱりながら恐る恐る講堂に入る。

と、なんとマーティン教授本人が真っ先に「まぁかわいい学生さんね」と娘に声をかけて下さった!!!!

ありがた〜い(涙)

主任教授も他の学科の先生たちもみんなで娘を抱っこしたりキャンディーをくれたりとあやしてくれたおかげで、娘は2時間の間、ロリーポップをしゃぶる音以外は、ほんとうに静かに座っていることができた。

ぜったいにちゃんと学位をとろう!

講義が終わりロビーに出ると、銀色の髪をおかっぱに切りそろえたマーティン教授が「びっくりするくらい静かだったわね!」と、ニコニコ顔で声をかけてくださった。

実は私も驚いた。この夜ほど、娘がお絵かきに集中していてくれたことはなかったからだ。

母の「どうしても聴きたいっ!」という想いが、痛いほど通じたのだろう。

が、その晩、寝顔を眺めながら、娘がけなげに思えて仕方がなかった。

ここまで「いい子」にさせてしまっている分、ぜったいにちゃんと学位をとろう!と決意をあらたにした夜となった。

→続く

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お読み下さりありがとうございました。

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第19回 助産師さんもっといけー!

幼い子どもを連れてやってきたスコットランド。

思いもかけず、大学院生となり真剣に学問する学生たちに混じり、しのいでいる。

ジャパニーズ・ママ院生、気合を入れるために髪を思いっきりショートカットにした。

情けないほど自分にかける時間がない。

髪を洗う時間が惜しいからだ。

今は子育てと学ぶことに必死~

でも、1学期を終えてみて驚いたのは、昔大学で勉強したことが何一つ無駄ではなかったということだ。

医療人類学といっても、社会学、人類学も学ばなければならないので、当然マルクスのおさらいもするし、哲学にも触れる。

再びニーチェやフロイトを読むことになる。

理論の授業でミルチャ・エリアーデまで出てきたときは、本当にびっくりした。

宗教学者エリアーデの神秘哲学というか、「一瞬の中の永劫」という時間への捉え方の当時としての不思議さを思って、学生時代に面白く読んだのだ。

なーんだ、人生みーんな意味があるんだ。

そうあらためて実感した。

母乳育児が政権によって変化?

エジンバラ大学の医療人類学での『癒しと健康』という名の一学期の必須科目では、母乳育児がいかに、時代の政権によって、変化を受けるものかについてディベートをした。

私は英語がまだ上手く話せないので、ひたすら聞き手に徹するだけだが、学生同士のやりとりはなかなか面白い。

さすがに女性軍は盛り上がり、テンポよく発言していても、男子学生は会陰切開という単語すら知らない人も多い。

しかし、戸惑いながらも、まっすぐな目線で質問し続けていた男子学生たちの多かったことが新鮮だ。

教授も、鋭い指摘にたじたじ

もうひとつの『健康と病理への社会学的アプローチ』のクラスでは、クラスメートのドイツ人の助産師さんや、スコットランド人の看護婦さんが、ものすごい迫力で授業をリードしていた。

教授ですら、彼女たちのお産に関する鋭い指摘にはたじたじだ。

私は内心、「もっと語ってくれ〜!!!」と助産師や看護師の彼女たちに向けて拍手喝采をしていた。

それにしても。。。

今年の1月には、スコットランドに住むことも、ましてや勉強を再開することも、夢のなかにも思わなかった。

それが12月には1学期の授業をすでに終えているだなんて、人生ってほんとうに不思議だらけだ。

知りたいことは、妊娠を通して見つかった

もちろん今の私は、駆け出しもいいところで、偉そうなことは何ひとつ言える立場ではない。

けれど、もしかすると、自分の知りたいことさえ分かれば、紆余曲折はあっても、道とは自然とつながっていくものなのかもしれない。

私の場合、知りたいことは、妊娠〜出産〜子育てを通して見つかった。

つまり、娘が教えてくれたようなものだ。

だからこそ、娘のためにも今学べることをしっかり学んでおきたいと思う。

この1年、本当にいろいろと考えさせられることが多かったけれど。。。

だって、日本を離れるのが辛かったから。

でも表向きには挫折のようで、実は未来への確かな一歩になってくれていたりと、見方によって目の前の出来事はいくらでも変容する。

一見華やかな出来事が、虚しく感じられることもあったり。

そして、

それらすべてのことには意味があったのだ

そう、やっぱり私には思えてくる。

さあ!

肩の力を抜いて、

大きく深呼吸して、

これからも自分を信じてゆったりマイペースで進もうっっと。

♪メリークリスマス & ア・ハッピー・ニューイヤー♪

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お読み下さりありがとうございました。

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第18回 今やるよ!人生無駄なし

エジンバラから少し遠出して、週末旅行に行ってきた。

スコットランドの世界遺産ニューラナークだ。

いろいろな意味で悪名も高かった産業革命で、人々の生活が一律に管理されていく中で、この村だけは人々の健康を守り、就労時間以外はレクリエーションも豊富に提供されていた。

病人も他の産業都市よりずっと少なく、次第にニューラナークは産業革命時代のロールモデルとなっていった伝説の村だ。

今では、昔ながらの遊びが体験できるエドゥケーショナルな博物館となっている。


写真は、鉄の輪が倒れないようにバランスをとりながら、鉄の棒で輪を手前に転がしていく遊びだ。

かなりのスピードで走り続けないと、輪がすぐパタンとなってしまう。とても難しくて、私は一度も成功せず。。。

すぐに諦めてしまったよ(涙)。

昔から、難しいことは苦手で、努力するのも嫌いだった。

そんなあの頃の自分を振り返ってみると、中学までは学級委員をするようなタイプだったんだよね。

それが、高校に入って一気にデビュー。

授業なんてそっちのけでいくつものクラブ活動をかけもちしながら文化祭に、体育祭に没頭し。。。

そのうちに成績も下降線を辿り、ついに高校3年の進路指導では、第一志望校を先生に伝えるなり『悪いことは言わないから考え直しなさい』と諭されるまでになっていた。

私は外国の人々の生活や宇宙観、死生観などに興味があったので、そのようなことを勉強できる学科を受験するつもりだったのが、心ない担任のひとことに一時は『そうか、自分の力では無理なんだ。。。』と思った。

ところが、導入されたばかりの小論文の一芸入試制度のおかげで、奇跡的にも第一希望校の学部学科に拾ってもらうことができた。

この写真もニューラナーク↓

哲学も、社会学も、よく学んだ

今になって思うと立教大学ではいろいろと学ばせていただいた。

哲学では近代哲学のショーペンハウアーや、ハイデッガー、ニーチェをかじり、エリアーデも面白く読んだ記憶がある。

社会学も興味深かった。

マックス・ウェーバーの説くプロテスタンティズムと資本主義の精神について何度もクラスで話し合ったことも懐かしい(あんまりよく理解していなかったけどね)。

他にも、古代イスラエル史、人類学、理学部の授業なども選択科目でとってみたが、どの分野も身動きがとれなくなるほどの密度の濃さで、膨大な知の系譜を前に圧倒された。

なかでも、宗教音楽と宗教美術にひときわ感動した。

知れば知るほどにキリスト教美術は不可思議で、特にマグダラのマリアなどはすべてが隠喩的で、表現の限界があった当時、様々な意味合いを込めて女性性の復活や血の結びつきが語られていて、少ない知識ではとても理解仕切れないほどに奥深いのが音楽と暗号である当時の美術なのだ。

研修旅行ということで、ラベンナのモザイクとグレゴリアン・チャントを聴きに、皆川達夫教授、名取四郎教授と一緒に私たち学生も2週間ほどイタリア周遊できたことは今となっては良い思い出だ(お二人の本を以下に載せた)。

お二人とも、とても紳士で、行く先々の教会で素敵な課外授業を繰り広げてくださる知の巨人だった。

キリスト教美術の源流を訪ねて (2) 地中海都市編

中世・ルネサンスの音楽 (講談社学術文庫)

その旅がきっかけで、私のなかのイタリアはどんどん大きくなっていった。

そのままイタリアにハマり。。。

卒業論文のテーマもイタリアの社会学をベースにしたものでおさめた。

しまいにはアリタリア航空にも勤めるというご縁にも恵まれた。

しかし結婚後、夫と海外を転々として、結婚8年目に娘を抱くことになる。

そんな学業とは無縁となった一母親が、10年以上のブランクをへて、娘の誕生を契機に目覚めた。

妊娠以来、毎日新聞インタラクティブで産後まで拙い連載を書かせて頂いていたが、お産について知れば知るほど、その小さな窓からは私たちの生きる社会がありありと見えてくる。

うやむやではなくて、女性として今の時代に生かされながらしっかりと理解しておきたいと思うことが自分のなかで次第に山積みになっていった。

漠然と知りたかったことがフォーカシングできてくると、同時に勉強し直したいという気持ちが高まる。

そこで色々と読み漁っていたところに夫のスコットランド転勤である。

良いタイミングに祝福されて、娘は自宅から徒歩5分のナーサリーにいきなりだったにもかかわらず週3回通わせてもらえることになり、英会話学校にも通えて、最終的にはこうして一学期の論文も提出できたのだから、本当にありがたいことだ。

世界で今も女性は産んでいる。

語られてこなかった女性たちの歴史は、本当に凄いんだ。

それをみんなと分かち合いたい。

だから、

今の自分に何ができるんだろう????

今日も同じ思考のループに乗っかって、静かに窓の外を眺めている。
→次号に続く

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お読み下さりありがとうございました。

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