第18回 今やるよ!人生無駄なし

エジンバラから少し遠出して、週末旅行に行ってきた。

スコットランドの世界遺産ニューラナークだ。

いろいろな意味で悪名も高かった産業革命で、人々の生活が一律に管理されていく中で、この村だけは人々の健康を守り、就労時間以外はレクリエーションも豊富に提供されていた。

病人も他の産業都市よりずっと少なく、次第にニューラナークは産業革命時代のロールモデルとなっていった伝説の村だ。

今では、昔ながらの遊びが体験できるエドゥケーショナルな博物館となっている。


写真は、鉄の輪が倒れないようにバランスをとりながら、鉄の棒で輪を手前に転がしていく遊びだ。

かなりのスピードで走り続けないと、輪がすぐパタンとなってしまう。とても難しくて、私は一度も成功せず。。。

すぐに諦めてしまったよ(涙)。

昔から、難しいことは苦手で、努力するのも嫌いだった。

そんなあの頃の自分を振り返ってみると、中学までは学級委員をするようなタイプだったんだよね。

それが、高校に入って一気にデビュー。

授業なんてそっちのけでいくつものクラブ活動をかけもちしながら文化祭に、体育祭に没頭し。。。

そのうちに成績も下降線を辿り、ついに高校3年の進路指導では、第一志望校を先生に伝えるなり『悪いことは言わないから考え直しなさい』と諭されるまでになっていた。

私は外国の人々の生活や宇宙観、死生観などに興味があったので、そのようなことを勉強できる学科を受験するつもりだったのが、心ない担任のひとことに一時は『そうか、自分の力では無理なんだ。。。』と思った。

ところが、導入されたばかりの小論文の一芸入試制度のおかげで、奇跡的にも第一希望校の学部学科に拾ってもらうことができた。

この写真もニューラナーク↓

哲学も、社会学も、よく学んだ

今になって思うと立教大学ではいろいろと学ばせていただいた。

哲学では近代哲学のショーペンハウアーや、ハイデッガー、ニーチェをかじり、エリアーデも面白く読んだ記憶がある。

社会学も興味深かった。

マックス・ウェーバーの説くプロテスタンティズムと資本主義の精神について何度もクラスで話し合ったことも懐かしい(あんまりよく理解していなかったけどね)。

他にも、古代イスラエル史、人類学、理学部の授業なども選択科目でとってみたが、どの分野も身動きがとれなくなるほどの密度の濃さで、膨大な知の系譜を前に圧倒された。

なかでも、宗教音楽と宗教美術にひときわ感動した。

知れば知るほどにキリスト教美術は不可思議で、特にマグダラのマリアなどはすべてが隠喩的で、表現の限界があった当時、様々な意味合いを込めて女性性の復活や血の結びつきが語られていて、少ない知識ではとても理解仕切れないほどに奥深いのが音楽と暗号である当時の美術なのだ。

研修旅行ということで、ラベンナのモザイクとグレゴリアン・チャントを聴きに、皆川達夫教授、名取四郎教授と一緒に私たち学生も2週間ほどイタリア周遊できたことは今となっては良い思い出だ(お二人の本を以下に載せた)。

お二人とも、とても紳士で、行く先々の教会で素敵な課外授業を繰り広げてくださる知の巨人だった。

キリスト教美術の源流を訪ねて (2) 地中海都市編

中世・ルネサンスの音楽 (講談社学術文庫)

その旅がきっかけで、私のなかのイタリアはどんどん大きくなっていった。

そのままイタリアにハマり。。。

卒業論文のテーマもイタリアの社会学をベースにしたものでおさめた。

しまいにはアリタリア航空にも勤めるというご縁にも恵まれた。

しかし結婚後、夫と海外を転々として、結婚8年目に娘を抱くことになる。

そんな学業とは無縁となった一母親が、10年以上のブランクをへて、娘の誕生を契機に目覚めた。

妊娠以来、毎日新聞インタラクティブで産後まで拙い連載を書かせて頂いていたが、お産について知れば知るほど、その小さな窓からは私たちの生きる社会がありありと見えてくる。

うやむやではなくて、女性として今の時代に生かされながらしっかりと理解しておきたいと思うことが自分のなかで次第に山積みになっていった。

漠然と知りたかったことがフォーカシングできてくると、同時に勉強し直したいという気持ちが高まる。

そこで色々と読み漁っていたところに夫のスコットランド転勤である。

良いタイミングに祝福されて、娘は自宅から徒歩5分のナーサリーにいきなりだったにもかかわらず週3回通わせてもらえることになり、英会話学校にも通えて、最終的にはこうして一学期の論文も提出できたのだから、本当にありがたいことだ。

世界で今も女性は産んでいる。

語られてこなかった女性たちの歴史は、本当に凄いんだ。

それをみんなと分かち合いたい。

だから、

今の自分に何ができるんだろう????

今日も同じ思考のループに乗っかって、静かに窓の外を眺めている。
→次号に続く

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お読み下さりありがとうございました。

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第17回 この人に逢いたかった〜

大学院の生活がアップアップなのに、私ときたらどこまで貪欲なのだろう。

でも、逢いたい方には逢っておきたい❤️

しかも、

かえって両方同時に進めることで学業がはかどるだろうと思い、30年以上ホームバースの利点について語ってきたナディーン・エドワード博士の元を娘を連れた。

予想通りの素晴らしい女性だった。

もう感激し過ぎて、私は首振りべこ状態であった。

そして、彼女の主宰する産前産後教育者の2年間コースに申し込んだのだった。

月に2回、土日丸2日の内容で、子連れでも通えるという。

エドワーズ博士は、お産の世界で有名なAIMS(お産における医療消費者センターのような組織)の創始者のお一人だが、現在、エジンバラ市内でBRC(バース・リソース・センター、その後、名称はPPCに変更)という施設を運営している。

妊娠した女性や、赤ちゃんを抱えたおかあさんたちが産前産後クラスに通うスクールのようなところで、彼女の長年の活動内容に私はこころから共感した。

そこで、教育者も養成しようということで、SBTA(スコティッシュ バースティーチャーズ アソシエーション)を主宰していたのだ。

ナディーン・エドワード博士の話

赤いチェックのストール

窓辺から見える木の根本に赤いチェックのストールが落ちている。

なんとなく秋の気配を感じて心が静まる。

日本からの来客を快く出迎えてくださったエドワーズ博士。

エルダリーフラワーのハーブティーを入れてくださった。

『産みゆく女性が、妊娠、出産、育児を通して、自分のこととして起こるひとつひとつの出来事の意味をていねいに考え、本当の意味で、物事を主体的に判断していくプロセスで、真の自分と出遭っていけるようサポートする』

というのは、口で言うほど簡単なことではない、とお茶をすすりながら語る。

『こころと身体のつながりはとても大切です』

という部分に力を込めて、私をじっと見つめた。

つい先月、ご自身のお嬢さんのホームバースに付き添ったばかりというエドワード博士は続けた。

『今まで、数えきれないほど多くの女性たちの声を聴いてきましたけど、お産とは身体的、精神的であるばかりか、特にその人のスピリチュアリティーに大きく影響を与えるものです。

お産は、特にホームバースは、ルーティンケアや不必要な医療介入から身を守り、一対一のケアを受けられるという点で、産む女性の自律性を高める可能性に満ちています。

豊かな自律性を生むお産とは、自律的な助産師の存在によって決まっていくものです』と、とうとうと語るエドワーズ博士。

自律性—-肉体的、精神的、霊的な気づきまでも

この自律性というのが興味深い。単に肉体レベルの話ではなく、人生を豊かに生きていくうえでの必要な判断力、決断力を高めたり、霊的な気づきまでをも含んでいるというからだ。

どうやらここスコットランドでは、ただの『お産好き』だった私のような者にとって、想像以上にいろいろなことを学ぶ機会がありそうだ。

今の私の英語レベルでは正直きついが、エドワード博士おすすめの専門書も原書でいろいろと読んでいければなぁと思っている。

えっ?日本語の本ばかり読んでいるうちはダメって?

ハイそのとおり(涙)

冒頭にも書いたとおり、今は院の課題図書以外はまだ日本語の本ばかり手にとってしまうけど、出来るだけ英語の文献は原書で読むようにしなければなーと思う。

現状では、英文読解だけでアップアップで、行間を読み取ったり、読後感に浸る余裕は全然ないけど。。。

目下の目標は、英語の本を読んでも『自分らしさ』に水をやったような清々しい気分になれること、かな。

それにしても、奥がふか〜い道に踏み出してしまったものだ。

→次号に続く

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第16回 入学後に待っていた試練

晴れて大学院生になりましたーっ

とにこやかだったのは、ほんの数日だった。

いきなりイギリス人の医師(GP)とドイツ人の先生に課題図書を山ほど与えられた。

大学が誇る24時間オープンの図書館へのアクセスカードも作ってもらう。

同じクラスメートはみんなものすごく優秀。

私一人、初日から落ちこぼれ。

そんな気分でスタートを切った。

私は一番の年上で、先生方を覗いて、唯一の子育て真っ最中の母親だった。

でも、エジンバラは大学都市である。

学内のナーサリーを数カ所(数カ所もあるのがすでに凄い!)見学に行ったところ、たくさんの学生が赤ちゃんを預けていると聞いて、心底驚いた。

結局はシュタイナースクールを選んだので、大学内の保育園は利用しなかったが、学生の子供達も教授達の子供達も楽しそうに過ごしていて、なかなか良さそうなナーサリーだった。

毎日、娘が眠ると、どろどろに疲れたカラダに鞭を打って起き出して課題論文を読んだ。

分からないことだらけで、電子辞書を使って調べる。

かちゃかちゃと打ち込む音やパソコンの音でたまに娘が起き出してくる。

授乳を続けていたので、夜中に一回、2時くらいにたっぷり飲ませて、再び寝かしつける。

学べるということがとにかく楽しくて、寝不足が当たり前の生活だった。

なぜ更年期障害を訴える女性のいなかったとある地域で、急に更年期障害(メノポーズ)で薬に頼る人口が急増したか理由を探ってみたら、その数年前から、製薬会社がメノポーズの専門薬を開発し、その地域に売り込み開拓の手が入っていたからだった、とかいう論文だったり、ネパールでの結核患者の推移と製薬会社の新薬開発が複雑に絡み合っている事実であったり。

オックフフォードの医学部の学生達を相手に行った研究では、最初のうちは、切ったり貼ったりすることに抵抗のある新入生達が、一体入学からどのくらいの時間たった頃に、人のカラダを単なる人体として処理できるようになっていくのかという推移の研究だったり。

はっきり言って、医療人類学とは、恩恵として近代医療をとらえつつも、同時に、厳しい視点で医療の在り方を批判し、本来のウェルビーング(健康な在り方)を模索する学問だなあと思った。

しかも、その学問を教えている当人が医師達なのだから面白い。

そんな内部告発のような世界の研究の数々をみんなで読んでディスカッションをしていく。

私は英語ができないからディスカッションが弱い。

でも、幸いにもイギリス人の女性のマーズランド先生(アフリカ研究をされていた)が娘と同い年の男の子のママだった。

ディスカッションでは、彼女が私をよくフォローして支えてくれた。

休日には自宅に呼んでくれて、子供達を遊ばせながら、私の理解できていなかった部分を丁寧にフォローアップまでしてくれた。

彼女が私の熱意に深く共感してくれていたのは痛いほど感じていた。

同じ母親として付き合っても下さる。

本当にありがたい存在だった。

だから、卒論の準備など、頑張ろうと思う時には、いつもマーズランド先生に相談をして決めていった。

出産の在り方は、未来をつくる。

だから、あなたが頑張っていることはすごく大事なこと!

イギリスの旧家に育った彼女の上品なブリティッシュアクセントが今も耳の奥に残る。

→次号に続く

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